SKE48 『国境のない時代』と松井珠理奈:ボーダーレスとアイデンティティのジレンマ
AKB48の51stシングル
『ジャーバージャ』の
カップリング曲に、坂道AKBの
『国境のない時代』が
収録されている。
18人編成でAKBグループ、乃木坂、
欅坂(けやき坂含む)からそれぞれ
6人ずつ選抜されている。
名古屋SKE48の松井珠理奈も
選抜されている。
まあ、おそらく、坂道に頼らなければ
AKBの売上を維持できないことへの
言い訳ソングなのだろう。
AKBグループも乃木坂も欅坂も
「境」なんか無くみんな一緒だよ、と。
国境の起源とボーダーレスエイジ
そもそも国境、主権国家というもの自体、
1648年のウエストファリア条約で
確立された、人類史の中で
たった400年足らずの、
人間が作り出した「観念」にすぎない。
そして再び「ボーダーレスエイジ」
と言われて久しい。
Amazonのような企業の台頭によって
主権国家体制自体が
溶けて無くなるのではないか
と語る論者もいる。
ボーダーをまたいだ松井珠理奈
ところで、「ボーダーレス」と
「アイデンティティ」の板挟みで
悩み苦しんだ人といえば、
名古屋SKE48の松井珠理奈である。
小6の時、SKE1期生として加入直後、
AKB48のシングル『大声ダイヤモンド』で
単独のジャケット写真と
センターポジションに選抜される。
AKBとSKEの移籍、再加入という面では
中西優香、出口陽がいるが
SKEでありながら、AKB選抜でもある
というのは、松井珠理奈が初めてである。
ボーダー、境の両方に両足を置いたのだ。
2009年1月のリクアワの
『大声ダイヤモンド』(2位)では、
松井珠理奈は、
もう1つ覇気が感じられない
ようにも思われる
AKBメンバーの中で、
ど真ん中で1人だけ
キレと関節の角度が違う
パフォーマンスを見せた。
SKEとしてのアイデンティティだ。
『マジすかロックンロール』の
パフォーマンスなども熱い。
2012年3月、松井珠理奈の
AKB48チームKとの兼任が発表された。
発表された瞬間は
「兼任」という言葉はなく、
移籍のような雰囲気だったため、
SSAは阿鼻叫喚に包まれた。
松井珠理奈は「兼任」の旨を聞いた後、
一旦は気丈にコメントしたものの、
医務室に運ばれてしまう。
すでにボーダーの両側に
両足を置いていたはずの
松井珠理奈であったが、
アイデンティティ喪失の危機を
感じたのではないだろうか。
やがて、
AKB選抜でのパフォーマンスは、
周囲との調和を重視したものに
変わったと思う。
たとえば2013年3月29日の
ミュージックステーションの
『10年桜』ではセンターに抜擢されたが
発売当初とは異なり、
かなりおとなしいパフォーマンスだった。
アイデンティティを取り戻した松井珠理奈
私がAKB選抜の松井珠理奈で
「おや?」と思ったのは、
2015年の総選挙選抜曲
『ハロウィンナイト』。
テレビでのパフォーマンスを見て、
久しぶりにやりたい放題
やっているな、と思った。
そして、それから間もなく
2015年10月22日の
オールナイトニッポンにて、
AKBとの兼任を停止し、
SKE専任になることを発表した。
松井珠理奈の損得勘定で考えたら、
AKB兼任のほうが良かっただろう。
AKBというブランドの価値は
SKEに比べて高いだろう。
SKE専任になったところで
AKB選抜には入り続けるわけで、
物理的に何かが楽になるということは
あまりないだろう。
そして、AKB運営上層部は
兼任を蹴られたことによって
秋葉原AKBのメンツを潰されたと
感じたかもしれない。
実際に、松井珠理奈に対し
その懲罰的な扱いが
兼任停止後にあったかもしれない。
しかし「境のない」パイオニアだった
松井珠理奈の
損得勘定を超えた
感情の根底にあったのは
SKEとしてのアイデンティティだったのだ。
追記
2018年6月、
松井珠理奈はSKE専任として
総選挙で須田亜香里とのワンツーを
成し遂げた。
しかし、上に「懲罰的な扱い」
と書いたが、
総選挙後の松井珠理奈への
秋葉原AKB運営の態度は
冷淡だったと思う。
おそらく松井珠理奈は
SKEを守るために、
多大な犠牲を払って、
なにか大きな存在と
戦っていたのだろう。
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