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陸上競技 中距離・長距離で朝練、二部練はすべき? 2回に分けて走っていいの?

 

陸上競技 中距離・長距離で朝練、二部練はすべき?

 

時と場合によります。

 

有酸素能力の向上が目的の場合

特に、鍛錬期に、継続時間の長い有酸素ランニングで、有酸素能力の向上を目指すことが目的の場合、走る時間は分割せずに、1回の練習で長い時間を走り続けるべきことが多いでしょう。中長距離ランナーなら、60~120分ほどは継続して走れるべきです。
ただし、有酸素能力の向上が目的の場合でも、1日2回のトレーニング刺激を与えることにより得られる特有の適応があるでしょうから、あえて、走る時間を分割する意義はあると言えます。

 

有酸素能力の維持が目的の場合

能力の維持は、向上よりも、はるかに簡単です。したがって、特に、試合準備期や試合期に、有酸素能力の維持が目的の場合、無理に1回で長時間走らず、2回に分けても、維持という目的は達成されます。たとえば、30分/30分、40分/40分、などと分割してもいいでしょう。

 

休養的練習の場合

1日2回走ることにより、より、回復力を高める現象が起きるので、走る時間を分割することは意味があると言えます。たとえば、30分/30分などと分割してもいいでしょう。

 

参考サイト
筆者はSteve Magnessさんという、中長距離走のコーチです。運動科学の修士号を持っています。2019年世界陸上ドーハ大会の女子マラソン6位は、41歳のアメリカのフルタイム勤務の看護師でしたが、Steve Magnessさんが指導したそうです。

 

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中長距離走 乳酸除去能力の高め方 5000m、10000m、ハーフマラソン、マラソン

 

中長距離走 乳酸除去能力の高め方

 

乳酸は敵か味方か?

 ランナーに疲労の原因を尋ねると、ほとんどの場合、乳酸と答が返ってきます。この言葉を聞いただけで、レース終盤の激痛や苦闘、悪名高い尻もちなどの記憶がよみがえります。しかし、現在の運動生理学では、乳酸は疲労物質ではない、ということになっています。ランナーの味方であり、敵ではありません。乳酸は、悪者ではなく、速く走るための重要な燃料源なのです。

 

 

 乳酸が悪者扱いされているのはなぜでしょうか?速く走れば走るほど、乳酸の生産量と消費量は増えます。よく訓練されたランナーであれば、乳酸を生産してもすぐに「排出」することができます。しかし、ある時点で、速く走ったため、あるいは速いペースを長く維持したために、血流から排出できる量よりも多くの乳酸が生成されるようになります。このとき、乳酸生成に伴う水素イオンは、エネルギー生成に使われる酵素を停止させ、カルシウムの取り込みを阻害する可能性があります。その結果、筋肉の収縮能力が低下し、減速せざるを得なくなるのです。つまり、一般的に「乳酸」に関連するすべての感覚は、乳酸を生成するのと同じくらい速く処理できなくなったときに現れるのです。

 LT走(テンポ走)やクルーズインターバル(LTペースで行うインターバル)は、この問題を解決するための伝統的なトレーニング手段です。これらのトレーニングは、乳酸の産生が進むにつれて乳酸を除去する能力、または耐性を向上させることで、より速いペースをより長く維持することを可能にします。しかし、エリートコーチやケニア人アスリートは、レース中に乳酸の使用量を増やし、乳酸とそれに付随する疲労物質をより早く排出できるよう、新たな工夫を凝らしています。

 

乳酸除去能力を高めるには?

 イタリアのコーチであるレナート・カノーヴァ(Renato Canova)は、東アフリカのランナーは欧米のランナーよりもレース中のスピードで乳酸を排出する能力が高いと信じています。多くのランナーは、LT走、あるいは15kmからハーフマラソンまでのレースペースであれば、乳酸を素早く排出することができますが、それ以上になると排出メカニズムに負担がかかり、血中に乳酸がどんどん流れ込んできます。

 この問題を解決するために、私達はLT走を継続的に行い、乳酸を除去する能力を徐々に向上させる傾向にあります。この方法の第一の欠点は、より速いレースペースで乳酸を除去することを身体に教えることがほとんどできないことです。もうひとつは、LT走の場合、乳酸の排出は比較的一定なので、より速く排出する方法を考えなければならないほど、身体にストレスがかからないということです。

 このような欠点を回避するために、2つのトレーニングが利用できます。つまり、乳酸の産生を高めるために速く走る区間と、それまでに産生された乳酸を排出するためにゆっくり走る区間が続くようにするのです。

 

alternations(交互)

 最初の方法は、レナート・カノーヴァがalternations(交互)と呼ぶものです。alternationsは、連続したランニングで、少し速く走る区間と少し遅く走る区間を交互に繰り返すものです。ハーフマラソンやそれ以下のレースでは、1区間はレースペース、もう1区間は従来のLTペースよりやや遅めのペースで走るのが目標です。この場合、通常のLT走のペースより1マイルあたり20秒から40秒遅いペースを目安にするとよいでしょう。トレーニング期間中、この区間のペースを徐々に上げていき、2つの区間のペースの差が小さくなるようにします。マラソンのトレーニングでは、レースペースと、最初は1マイルあたり15〜20秒速いペースを交互に繰り返すことで、マラソンペースでも乳酸を燃料として使用できるように体を鍛えます。

以下は、ハーフマラソンまでの交互走の流れです。

 

ハーフマラソンのためのalternations

ハーフマラソンまでの10週間、この一連のトレーニングを行い、レースペースでの乳酸除去能力を向上させる。RP=ハーフマラソンの目標ペース。

10週前

400m(RP+3秒/km)と1200m(RP+25秒/km)を交互に10km。

8週前

600m(RP)と1000m(RP+22秒/km)を交互に10km。

6週前

800m(RP-3秒/km)と800m(RP+22秒/km)を交互にを交互に10km。

4週前

1000m(RP-6秒/km)と600m(RP+19秒/km)を交互に12~13km。

2週前

1000m(RP-6秒/km)と600m(RP+12秒/km)を交互に12~13km。

 

blends(混ぜる)

 乳酸除去能力を向上させるための新しいトレーニングの2つ目は、blendsです。「乳酸を素早く除去する能力を高めるために、長いインターバルと短いインターバルを混ぜる」ものだとレナート・カノーバは言います。

 この方法は、休憩時間を挟んでインターバル方式で行うことを除けば、alternationsと似ています。トレーニングでは、1マイルのような長いインターバルに続いて、1/4マイルのような短いインターバルがあり、その後、長いインターバルに戻り、この順序を数回繰り返すのです。短い区間の前の休息時間も比較的短く、長い回復を経てサイクルが繰り返されるはずです。

 blendsのメカニズムは若干異なりますが、速い区間が乳酸の産生を高め、長い区間がその乳酸に対処するという大前提は変わりません。レナート・カノーバによると、その主なメカニズムは、トレーニングによって「細胞膜の透過性が向上する」こと、つまり乳酸が筋肉から出たり入ったりしやすくなることだそうです。

以下は、5kmまでのblendsのしかたです。

 

5Kmのためのblends

5Kまでの10週間、この一連のトレーニングを行い、レースペースで乳酸を排出する能力を向上させます。RP = 1kmあたりの5K目標ペース。

10週間前:(2000m@RP (2’jog) 200m@RP-12″/k)×3、セット間4’jog

8週間前:(2000m@ RP-6″/k (2’jog) 300m@ RP-15″/k)×3、セット間4’jog

6週間前:(1600m@RP-6″/k (2’jog) 300m@RP-15″/k)×3、セット間4’jog

4週間前:(1200m@ RP-9″/k (2’jog) 400m@ RP-18″/k)×3、セット間は4’jog

2週間前:(800m @ RP-12″/k (2’jog) 400m@ RP-21″/k)×3、セット間は4分4’jog

 

新しい乳酸除去トレーニングの活用

 重要なのは、トレーニングプログラムにおいて、それぞれをどのように使用するかを理解することです。

 alternationsは、トレーニング期間中ずっと使用することができます。初期の段階では、低速区間がランの大部分を占める高度なLT走と考えるのがベストです。シーズン中にこれを行うには、alternationsの表で示したように、速い区間を長くして、少なくとも遅い区間と同じ長さにします。目標は、重要なレース前の最後の数週間で、速い区間が遅い区間と同じかそれ以上の長さになるようにすることです。

 blendsは、主にトレーニング期間の中盤から後半にかけて、または従来のインターバルが使用される時間帯に使用されるべきです。最初のうちは、速いインターバルの長さを100mから300m程度にし、後半はスピードと長さを徐々に上げて、トレーニングの強度を高めていくようにします。

 これらのトレーニングは、適応のための貴重な新しい刺激と、トレーニングのバラエティを増やすことの両方を可能にするはずです。従来のLT走やインターバルを捨ててしまうのではなく、隔週でこれらの新しいバリエーションをトレーニングプランに加えることで、トレーニング、ひいてはレースでのタイムに弾みをつけることができます。

 

参考サイト
筆者はSteve Magnessさんという、中長距離走のコーチです。運動科学の修士号を持っています。2019年世界陸上ドーハ大会の女子マラソン6位は、41歳のアメリカのフルタイム勤務の看護師でしたが、Steve Magnessさんが指導したそうです。

 

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中長距離走 ピーキング(テーパリング、試合に向けてピークを作る)の考え方

 

中長距離走 ピーキング(テーパリング)の考え方

 

中長距離走 ピーキングの問題

 

 長期間の厳しいトレーニングの後、目指していた大きなレースまでの最後の1週間ほどは、比較的簡単だと思われるでしょう。しかし、コーチやランナーにとって、「テーパリング(練習量を落とす)」と呼ばれる最後のトレーニングの計画ほど怖いものはありません。数ヶ月間、素晴らしいトレーニングを積んできたにもかかわらず、レース当日に体が完全におかしくなってしまい、まずいレースになってしまったという話は枚挙にいとまがありません。では、なぜこのわずかなトレーニングが、これほどまでに重要であり、問題を引き起こすのでしょうか?

 最高のコーチや科学的研究が推奨するものを見れば、ピーキングに関する悩みの答えはかなり簡単なはずです。しかし、いわゆる専門家による推奨は、事態をさらに混乱させるだけであることが分かっています。

 最適なピーキングに関する科学的見解は、最近の研究によって要約することができます。持久系アスリートのピークキングに関するさまざまな研究を分析した結果、トレーニング強度を維持するかわずかに高め、主要なトレーニングは速いペースに集中し、量を60数%減らすことが最良の方法であるという結論に達したのです。あるいは、簡単に言えば、走行距離のほとんどを取り除くような劇的なトレーニングの変更です。この高強度・低ボリュームのアプローチをドラマチックテーパーと呼ぶことにします。
 一方、多くのエリートコーチは、もっと緩やかなテーパリングを好み、全く変化を与えないことを選択します。2010年の室内世界選手権ファイナリスト、ティム・ベイリーのコーチであるクリス・パピオーネは、簡単に言うと、「今までうまくいっていたことは、そのまま続けろ。トレーニングで自分の強みから離れすぎないように。」という哲学を持っています。さらに、パピオーネ氏は、有酸素運動による刺激がなくなると、「陳腐化と疲労を招くだけだ 」と注意を促し、10%しか量を落とさないことを勧めています。

 グレッグ・マクミランコーチも同じ信念を多く持っています。5kmと10kmのアスリートの場合、彼の典型的なプランでは、2週間で25%のボリュームダウンが含まれています。よりハードなトレーニングでは、レースペースのトレーニングに加え、自分の強みに焦点をあてたトレーニングを行うことを勧めています。例えば、持久力重視の人は、LT走のような少し遅めのトレーニングに集中し、スピード重視の人は、レースペースより速めのトレーニングを取り入れる。最終的には、「ピーキングで最も重要なのは心理学である」と言います。アスリートが気持ちいいと感じるようなトレーニングを提供したいのです」。ピーキングに対する考え方が大きく異なる中、アスリートはどうすればいいのでしょうか?

 

なぜ、コーチと科学者は意見が違うのか?

 コーチとランナーは個人を扱い、科学者は平均を扱います。私たちのエリートコーチが提案するように、テーパリングの個人化が最も重要なのです。このことを概念化する一つの方法は、私たちの筋肉を構成しているものという観点から考えることです。人間の筋肉は数種類の筋繊維で構成されており、それらは遅筋繊維と速筋繊維に大別されます。一般に、短距離や高速のレースを得意とするランナーは速筋が多く、ウルトラマラソンをするランナーは遅筋が多いです。筋肉内の混ざり具合が違うことを考えると、なぜこれほど多くの異なるピーキング方法が推奨され、トップコーチがアスリートによって異なるトレーニングを行うのかが理解できます。同じ大会に向けてトレーニングしていても、遅筋の多いウルトラランナーと速筋の多い中距離ランナーでは、ピーク時の反応も違ってくるのです。

 2つ目の要因は、おそらく最も重要なことですが、研究は心理学を扱わないということです。ランナーである私たちは、週に一定の日数、一定の距離を走るというルーティーンに慣れています。そこから大きく外れると、コンフォートゾーンから外れることになります。マクミランが言うように、「あなたは頻繁な間隔で走ることに慣れていて、それを減らすと、あなたの道から外れます。」はっきりしているのは、ピークの目標は、疲労が解消され、かつ自信と有酸素能力が損なわれない程度にトレーニングを減らすことであるということです。

 最後に、研究の進め方が結果に影響します。多くの研究は、サイクリストとスイマーを対象に行われています。例えば、1日4〜5時間のトレーニングを2〜3時間に減らすなど、トレーニング量を50%減らしても、相当な有酸素運動による刺激を受けることができるのです。

 

ピーキングの生理学

 では、実際にピーキングによってパフォーマンスが向上するのはなぜでしょうか?科学者たちは早くから、酸素を運搬し利用する能力の変化が促進されるのではないかという仮説を立てていました。ヘモグロビンや赤血球の量が増えることで、血液中の酸素運搬能力が変化することはわかったものの、VO2max(最大酸素消費量)の増加を実証した研究はほとんどありませんでした。

 むしろ、筋肉の力を生み出す能力の変化、簡単に言えば、筋肉が強くなることが主な要因だと考えられています。興味深いのは、この変化が特定の筋繊維にしか起こらないということです。ピーキングは速筋にプラスの影響を与えるが、遅筋には影響を与えないか、マイナスになる。ピーキングがパフォーマンスを向上させる場合、速筋の強度が向上し、遅筋は変わらないということが研究で実証されています。逆に、ピーキングが効かず、パフォーマンスが上がらない場合は、遅筋の強度が低下しているためです。

 これは専門的な話かもしれませんが、さまざまなピーキングの方法に対して、なぜ個人によって反応が異なるのかを示す根拠を与えてくれます。繊維の種類でランナーを分類するのではなく、より実践的なアプローチで、マクミランがランナーを “持久力のモンスター “と “スピードの悪魔 “に分けたように、ランナーをその強さで分類すればいいのです。

 

ピークキングの個別化方法

 自分のベストピークを知るための最初のステップは、自分がどのようなランナーであるかを知ることです。 もしあなたがアルベルト・サラザールのようなランナーで、遅筋が約99%あるとして、速筋の強度を高めるためにピークキング戦略を用いることは意味があるのでしょうか?もともと少ないのですから、その強度を高めても意味がないのでは?繊維の種類を特定するために、高度な検査は必要ありません。実際、自分の繊維タイプを正確に知ることは、ほとんど意味がありません。

 その代わり、自分が走るレースの距離で、スピードと持久力のどちらが優れているかを調べます。これはとても簡単なことです。まず、短い距離と長い距離で自分のベストタイムを評価し、自分の強みがどこにあるのかを把握します。www.McMillanrunning.com にあるようなレース計算機で自分のベストタイムを入力し、短いレースと長いレースのどちらが計算機の予測タイムに近いかを確認するのがよく役に立ちます。次に、自分が得意とするトレーニングは何かという質問に答えます。短くて速い200m走の繰り返しなのか、長くて遅いLT走なのか。もし、あなたが速いトレーニングで成長するのであれば、スピード重視の人であり、長いトレーニングが好きなのであれば、持久力重視の人であると言えます。

 このような知識を得た上で、自分に最適なピ ーキング戦略を見つけるのです。エリートではないランナーの多くは、科学者が推奨する劇的なテーパリング法に従う傾向があります。しかし、この2つのアプローチを比較すると、エリートコーチが使うアプローチに多くのメリットがあることがわかるはずです。自分のランニングに適応させるには、いくつかの簡単なガイドラインに従ってください。コーチが提案したように、平均的なトレーニング量から毎週10%ずつ、2週間、合計25%程度、少しずつトレーニング量を減らすことにこだわってください。一般に、スピード重視のランナーは、速筋の強度が上がるため、もう少し量を減らしても大丈夫です。スピード重視のランナーには、1週間に15%程度の減量にとどめています。持久力重視のランナーは、1週間に約10パーセントの減量にとどめておくとよいでしょう。

 ハードなトレーニングの場合、劇的な変化は避け、これまでやってきたことに集中します。McMillan氏とPuppione氏は、新しいスピードトレーニングに取り組むのではなく、週に1回レースペースに集中し、もう1回は自信をつけるために自分のパフォーマンス力に焦点を当てたトレーニングを行うことを勧めています。例えば、スピード重視のランナーには、速いペースのインターバルで十分でしょう。例えば、5km走のランナーであれば、3kmから1kmのペースで200本または400本のインターバル走を行うのが典型的な例です。持久力重視のランナーには、10KペースやLT走のようなゆっくりしたセッションが適しています。レースペースと自信をつけるために、この2つのトレーニングに重点を置くことで、より良い結果を得ることができます。最後に、ランニングのルーティーンはできるだけそのままにすることです。つまり、走る頻度を大きく変えないということです。

 このように緩やかなテーパリングをすれば、研究で推奨されているような劇的なピークに挑戦するよりも、よりピークを迎える可能性が高くなります。新しいストレスや変化を導入し、魔法のようなパフォーマンスアップを期待する劇的なテーパリングに比べると、退屈で淡々としたものに見えるかもしれません。しかし、この場合、当たり障りのない退屈なものであれば、体がショックを受けることもなく、自信を持つことができるはずです。私たち強迫観念の強いランナーにとって、劇的なテーパリングは疑問でいっぱいになり、おそらく体力を失ったように感じてしまうようです。生理学的にはそうではないかもしれませんが、大きなレースの前にそんなことが頭をよぎるのは嫌なものです。結局のところ、最も重要なのは、スタートラインに立ったときに自信を持てるようなことをすることなのです。

 余談ですが、世の中で普通「テーパリング」と言えば、量的緩和策による金融資産の買い入れ額を順次減らしていくこと、つまり出口戦略を指します。「次第に先が細くなる、順次減らしていく」という意味では同じですね。

 

参考サイト
筆者はSteve Magnessさんという、中長距離走のコーチです。運動科学の修士号を持っています。2019年世界陸上ドーハ大会の女子マラソン6位は、41歳のアメリカのフルタイム勤務の看護師でしたが、Steve Magnessさんが指導したそうです。

 

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【感想】陸上競技中長距離 トラック走を極める!(メイツ出版)

 

陸上競技中長距離 トラック走を極める!(メイツ出版)

 

 

対象

800~5000m走のことを
ほとんど知らない初心者。

 

内容、感想

まず、800m日本記録保持者
川元奨選手、
元1500m日本記録保持者
小林史和選手、
5000m日本記録保持者
大迫傑選手
元3000m障害日本記録保持者
岩水嘉孝選手のインタビューが
収録されています。
競技関係の生い立ちなどが
語られますが、
あまり役に立たないと思います(笑)。

次に、ランニングフォームについて
載っています、
しかし、このあたりは、
世界陸上400mH銅メダル2回の
為末大さんのYouTubeチャンネル
「為末大学」がわかりやすく、
優れていると思います。

ただし、3000m障害の人は、
障害の越え方は、
本書を読むといいと思います。
ただ、これも
たむじょーさんのYouTubeチャンネル
解説されています。

次に、中長距離走の
レースの駆け引きについて
載っています。
このあたり、
トレーニングに特化した本には、
意外と書いていないので、
初心者は読んでおくといいでしょう。

次に、トレーニングについて
書いてあります。
漸進性
(故障しないよう徐々に負荷を高める)
など、トレーニングの大原則について
書いてあるのは良いのですが、
具体性に欠けると思います。
リディアードのランニングバイブルや、
ダニエルズのランニング・フォーミュラで、
しっかり学びたいところです。
その後のストレッチ、筋トレも
「為末大学」が優れていると思います。

 

 

次に、食事、睡眠、入浴で
回復するのも大切だ、
ということが書かれています。
練習日誌に書くべきことなども
書かれています。

 

おすすめ度

初心者は◯

 

目次

1.記録保持者がアドバイス 中長距離で速く走るコツ
2.中長距離のフォーム作り
3.中長距離のレースでの駆け引き
4.中長距離のトレーニング
5.パフォーマンスを発揮するためのコンディショニング

 

陸上競技中距離・長距離の練習法

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【感想】1日10分も走れなかった私がフルマラソンで3時間を切るためにしたこと(カンゼン)

 

1日10分も走れなかった私がフルマラソンで3時間を切るためにしたこと(カンゼン)

 

 

対象

サブスリーを視野に入れている女性市民ランナー

 

感想

まず、題名にある
「1日10分も走れなかった」
時代について、
全く触れられていないのが、
マイナスだと思います。

平塚潤さんという、
世界陸上代表で、
箱根駅伝の監督もされた方が
監修し、本書中にも登場するので、
内容は、かなりまともだと思います。

実質的には、
著者の女性を
全面に出してはいるものの、
平塚潤さんのマラソンの技術書、
というところではないかと思います。

1年間の流れ、3月は休養重視、
などということが
書いてあるのはいいと思います。

サブ3、3.15、3.5を目指す人について
ポイント練習を
・距離走20~30km
・ミドル走15~20km
・ペース走5~10km
・インターバル1000(200)×5
に分類して、解説しています。

10分走れないところからの、
体力づくり、
練習メニューについては、
『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』
(ベースボール・マガジン社)が、
原理、考え方から
しっかり書いてあって、
優れていると思います。

 

筋トレ、ストレッチについては、
世界陸上400mHで
銅メダル2回の為末大さんの
YouTubeチャンネル「為末大学」が、
やはり、原理、考え方から
語られていて、
優れていると思います。

 

本書は、おしゃれめな本で、
実際にサブスリーを達成した
女性のエピソードとともに、
あまり理論的に考えたくないが、
まずまず理論的にしっかりした
トレーニングをしたい、
という人には、
おすすめできると思います。

 

おすすめ度

 

目次

序.効率の良いサブスリートレーニング
 サブスリー達成には何が必要なのか?
 フォームや動きにこだわる
 スピード練習と距離走を上手に組み合わせる
 走る距離にこだわりすぎない
1.速くきれいに走るために必要なこと
 フォーム改善のために意識してきたこと

 必要な筋肉がつくとフォームは自然と変化する
 アゴを上げない
 肩甲骨を動かす
 猫背にならない
 ストライド走法とピッチ走法どっちが正しいの?
 腰高のフォームって?
 軸のブレない走りって?
 正しい腕振りの方法は?
 つま先着地?かかと着地?
2.レースの目標タイムと練習ペースの設定
 モチベーションの上がる上手な目標設定を

 レースに向けた年間スケジュールを考えよう
 フルマラソン記録達成への道
 年間スケジュールの立て方
 レース6週間前からの調整メニュー
3.サブスリー達成のためのトレーニング
 サブ3.15からサブスリーへの階段とは?
 超効率的なサブスリートレーニングの4本柱
 距離走
 ミドル走
 ペース走
 インターバル走
 スピード+ロングランのセット練習で相乗効果を狙う
 効率よく走力をつけるための週間トレーニングメニュー
 本格マラソントレーニング1~3
4.毎日続けたくなる!かんたん筋トレ
 筋力トレーニングはランニングへの効果絶大

 ランニングで使う筋肉を知ろう
 プッシュアップ・オン・ニー
 バックエクステンション
 スプリントスクワット
 ヒップリフト
 クランチ
 カーフレイズ
5.自宅でできる!かんたんストレッチ
 質の高い練習を継続するために体のメンテナンスは大切

 ハムストリングス
 股関節
 脊柱起立筋
 大腿四頭筋
 大臀筋
6.今さら聞けないランニングのお悩みQ&A

 

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【感想】陸上競技長距離・駅伝 自己ベストを出せる!(メイツ出版)

 

陸上競技長距離・駅伝 自己ベストを出せる!(メイツ出版)

 

 

対象

長距離、駅伝を楽しみたい、
初心市民ランナー

 

内容

表紙に書いてある監修者は、
オリンピックマラソン代表で、
箱根駅伝の指導者としても、
チームを立て直した方です。

ただ、
実際に執筆しているのは、
誰だかわからんなあ、
というところです。

まず、第1章は
「理想のフォームを身につける」です。

接地の説明で
「カカトから着地して、
 拇指球で蹴り出す」
とあります。
カカトで接地というのは、
それほど速くない
市民ランナーが対象なので、
いいかもしれません。

しかし、
「蹴り出す」という言葉については、
「本書でも地面の反発を利用」
とあり、
言葉の問題かもしれませんが、
世界陸上400mHで銅メダル2回の
為末大さんの
YouTubeチャンネルでは、
一貫して「蹴らない走り方」
という言い方をしています。

現在の陸上界では、
このような表現が主流だと思います。

為末さんは、他の動画で、
タイムが遅い
市民ランナーのマラソンでも、
原理は同じだ、と言っています。

次に、本書には、
モモ上げドリルが載ってます。
「拇指球に体重を載せ」
はいいと思いますが、
「膝を高く上げてひきつける」
とあります。
為末さんは、モモ上げは、
「膝を上げるのではなく、
 逆足で地面に乗っかる」
と言っています。

 

次に、
乳酸を疲労物質と表現していますが、
現在の運動生理学では、
乳酸は疲労物質ではない、
ということになっています。

 

5000m、10000m、
マラソンの練習メニュー、
設定ペースなども載っており、
内容も適切だとは思います。
しかし、練習メニューについては、
『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』
などで、原理から理解し、
体力、持ちタイムにしたがって
立てるのが良いかと思います。

 

長距離走の春夏秋冬のアイテム、
駅伝の魅力、オーダーの組み方、
Jogのペースは話しながらでも
楽に走れるペースで、
栄養学の基本、などが
書かれているのは
いいと思います。

 

おすすめ度

 

目次

1.理想のフォームを身につける
2.団体競技の駅伝を楽しむ
3.目的に合わせたトレーニングをする
4.ストレッチ&補強エクササイズ
5.レースに勝つための栄養学

 

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【レビュー】ASICS GT-1000 9 G-TX ゴアテックス、防水の実力は?

 

【レビュー】ASICX GT-1000 9 G-TX ゴアテックス、防水の実力は?

 

買った動機

 防水のランニングシューズがほしい!
 筆者はそれまで、ミズノのウェーブライダー20 GTXという、ゴアテックスのランニングシューズを履いていました。しかし、左足小指外側あたりに、穴が空いてしまいました(笑)。それそろ、買い替えどきかな、と。

 しかし、現在、ミズノはゴアテックスの「ランニングシューズ」は生産していないようです。

 ネットで調べると、アシックスは生産しているらしい。実店舗を少し回って探してみました。STEPスポーツ東京本店(水道橋)、それと、アメ横周辺をチョコチョコ。しかし、アシックスのゴアテックスのランニングシューズは置いていません。複数の店員さんによると「今、ゴアテックスは、トレイルの方になっちゃうんですよね。」とのこと。

 やっと、やや郊外のスポーツ専門店で見つけたものの、筆者が普段履いている27.5がない。27.0を試し履きすると、店員さんも、「ちょっと、痛くなっちゃうかもしれないですね。」とのこと。この感じから、27.5なら大丈夫かな、と思い、Amazonで注文しました。

 Amazonでの価格は、サイズによって異なり、日によっても異なりますが、2021年10月上旬現在、10,561円+106ポイントです。ゴアテックスのシューズとしては、かなりお求めやすいかと思います。返品などがしやすいかな、と思い、Amazonにしました。

 

履いた感じは?

 27.5の2Eですが、筆者の足は幅広気味なので、ちょっと幅がきつめかな、という気がします。靴紐を、結ぶ部分の長さがかなり短くなるくらい、緩めています。それでも、最初、右足小指の爪の右下あたりが、少し、靴ずれしました。ただし、この程度の靴ずれは、最初は、どんな靴でも生じがちでしょう。その後は全く問題なく、快適に履けています。

 

走った感じは?

 質量は300gほどで、かなり重いです。ランニング中級者以上が、ビュンビュンとスピード練習や、いいペースでのJog、距離走をする感じではないでしょう。スローJog向けかと思います。アシックスの公式サイトでも、GT-1000シリーズは、スピード、反発性ではなく、安定性、に分類されています。また、接地の感じが、ちょっと固めかな、と思います。
 一方で、安定性は高く、走りの技術がまだ未熟な、雨の日に走りたい初心者には最適でしょう。雨の日にも走りたい初心者なんているのか?と思うかもしれませんが、初心者は、傘をさしながらJogをしても、十分トレーニング効果はあると思います。

 

防水性は?

 2021年9月29日、台風16号が太平洋を進み、東京はそれなりの風雨でした。筆者は、この日、GT-1000 9 G-TXを履いて外出しました。

 雨をはじいている!(水滴が見えますか?)。靴の中も濡れていません。かなり高い防水性を誇っていると思います。

 

ゴアテックスとは?

 アメリカのWLゴア&アソシエイツ社が製造販売する防水透湿性素材の商標名です。水が入ってくるのは防ぐのに、汗による湿気は外に逃がす。すごいですね。非常に微細な孔がたくさん開いていて、液体の水は通さないが、水蒸気は通すようです。
 ゴアテックス製品にはすべて、黒いタグがつけられています。これは、厳しい品質基準によって作られた品質保証の証しです。

 

FLYTEFOAMテクノロジーとは?

 アシックスの公式サイトに詳しいことが載っています。要するに、軽量化しながら、クッション性、耐久性も実現した、アシックスの技術のようです。
 GT-1000 9 G-TXでは、FLYTEFOAMテクノロジーを、かかと部の路面に近い位置に組み込んでいるようです。

 

陸上競技中距離・長距離の練習法

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たむじょー選手の全日本実業団陸上2021 1500m 3分48秒51

 

たむじょー選手の全日本実業団陸上2021 1500m 3分48秒51

 

最初に言っておきますが、
筆者はたむじょーさんに好意的です。

YouTuberのたむじょー選手が、
2021年9月25日、
全日本実業団対抗陸上競技選手権
1500mで3分48秒51を記録し、見事、
YouTubeの3分50秒切り企画を
達成しました!

以下は、レース後のたむじょー選手の
感想動画です。

 

3分50秒切り企画は
見事達成したものの、
たむじょーさんは、
前日、当日と、
とても調子が悪かったと語っています。
たむじょーさんは、
緊張、プレッシャーも
原因に挙げていますが、
心身ともに、
どうも上がって行かなかったのは、
直前の練習メニューも
影響していたのではないかと
考えられるかもしれません。

14日前 400(59”前後、r=90″)×5
13日前 オフ
12日前 治療院
11日前 1600(3’40″~50″/km、r=90″)×5
    卜部蘭選手と。標高1750m。
10日前 10kmビルドアップ 4’~3’30″/km
    田母神一善選手と。標高1750m。
9日前   2000 200(30″)200(45”)×5
    1600  69”/400m
    1200  68”+61″+68″
    800  63″/400m (遅れる)
    400(64″)×8 偶数本に参加
    ラスト1本は57″台
    r=3’
    楠康成選手と。標高1000m。
8日前   筋肉痛でベッドから動けない。
    完全オフ。治療院。
7日前   オフ
6日前   jog10km 5’07″/km 
       まだ疲れがある
5日前   治療院
4日前   1000(2’33″)300(43″)
    r=100w 疲れ、重い
3日前   疲れ 治療院
2日前   治療院
1日前   朝練jog6km 体がめっちゃきつい
    「やべえ、明日終わったわ」
当日     朝練jog13分「終わったわ」
    「まじやばい」「きつい」「体重い」

たむじょー選手は、
大学を卒業してからは、
コンスタントに距離を
踏めているわけではないように見えます。
その中で、特に、
9日前の高地での
楠康成選手との練習で
かなり走れてしまったため、
かなり大きなダメージを負い、
なかなか回復ができなかった
のではないかとも考えられます。
ちなみに、楠康成選手が、
5000m、10000mをどれだけ真面目に
取り組んでいるかは知りませんが、
公認ベストは、そう変わりません。
したがって、
たむじょー選手が、
日頃まずまず距離を踏めて、
中距離的なスピード練習に慣れていれば、
本来、このような
ボリューミーな練習では、
そこまで劣らないことが予想されます。

4日前は、
何らかの刺激を入れるべきでは
あったと思います。
しかし、
レースペースでの1000+300は、
負荷が高すぎ、
合宿の疲労の回復の妨げに
なったとも考えられます。
一方、4日前の1000+300が
精神的な自信につながった面も
大きかったと思われ、
難しいところですね。

試合前1週間については、
・思い切って走らなかったことにより、
 なんとか疲労を回復した。

・治療院の先生の腕が良かった。
ことがいい結果につながったとも
考えられます。

その他
・大学時代に箱根駅伝に向けて
 取り組んだ貯金

・3月のマラソンに向けての
 練習の貯金

・5000m13分台、
 10000m28分台の地力
・800mで1’51″60

なども、ギリギリ踏みとどまった
要因として考えられるでしょう。

また、ハンガリアンテーブルを見ると
1500mの3’48″51は
800mの1’51″1
3000mSCの8’59”
5000mの14’01”
10000mの29’28”
と同レベルで、実は
たむじょー選手にとって、
それほど難しいことでは
なかったとも言えます。

まあそれはいいとして、
今後のたむじょーさんのご活躍を
期待しましょう!

 

800m、1500mの
ピーキングの基本は、
レースから遠い時期は、
長いJog、LT走、
5000mRPあたりのIntを行い、
レースが近づくにつれ、
疲労を抜きつつ、
レースペースの練習を行う
という考え方がわかりやすいと思います。

リディアードのランニング・バイブル
を読むことをおすすめします。

 

 

陸上競技中距離・長距離の練習法

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【書評】リディアードのランニング・トレーニング(橋爪伸也、ベースボール・マガジン社)

 

陸上競技中距離・長距離の練習法

 

リディアードのランニング・トレーニング(橋爪伸也、ベースボール・マガジン社)

 

著者の橋爪伸也さんは、
1980年頃からの
リディアードの弟子で、
日立陸上部の初代コーチも
務められたそうです。

 

リディアードって古いの?

橋爪伸也さんは、本書ではありませんが、
『リディアードのランニングバイブル』
(大修館書店)の訳者(小松美冬さん)
まえがきにも登場します。
「アーサー(リディアード)の
 トレーニング論が古い
 なんていっているの、
 日本だけじゃない?」
というFAXの内容が紹介されています。

一時期話題になった
ナイキ・オレゴン・プロジェクトの
元コーチ、スティーブ・マグネス氏の
サイトでも、
リディアードの名前は何回も登場します。
最先端のトレーニングと言われた
ナイキ・オレゴン・プロジェクトの
関係者が何度も言及するような人が、
古くさい人でしょうか?

リディアードが古いかどうかを
判断する資格があるのは、
有酸素ランニングを90分しても
それほど疲労を残さない体力をつけ
ヒルトレーニングを実行して
スプリントとスピード持久力を養成し
無酸素トレーニングをして、
有酸素能力、スプリント、
無酸素能力を協調させたことがある
人だけです。

 

ケニア人はなぜ速いか?

本家
『リディアードのランニングバイブル』
でも、ケニア人の強さの理由は、
学校まで走って行くことにより、
有酸素能力が開発されているから、
とされています。

たとえば、
陸上競技の月刊誌やネット記事に、
トップレベルの選手の練習メニューが
載ったとしましょう。
トラックをビュンビュン走っています。
そのようなメニューを、
たとえば、800mを2’00″、
1500mを4’10″程度の大学生が
マネをして、記録は順調に
伸びるでしょうか?
おそらく、
それほど記録が伸びないだけなら
まだマシなほうで、
再起不能レベルの故障をする
可能性も高いと思います。
大学の中距離パートというのは、
そのような場所になりがちである
気がします。

マネをするのであれば、
「学校に走って通う」
に相当するトレーニングから、
マネをしなければなりません。
つまり、リディアードの言う
「有酸素ランニング」です。
何年か前、高橋尚子さんが、
日本女子マラソンの状況について
「もっと泥臭い練習をしたほうが
 いいのではないか」
と言ったことがあります。
おそらく、現在の日本女子マラソンも、
世界トップ選手の
「現在の」練習を表面的にマネをして、
「学校に走って通う」
部分を見落としている
傾向があるのではないでしょうか。

 

誰でも走れるようになる

リディアード式で、
20人の中年の心臓病患者が
8ヶ月で全員が32kmを走った、
という話が載っています。
ただし、このあたりの
全くの初心者がフルマラソンを
完走するようなノウハウは、

今や、マラソンの本、記事や、
『ダニエルズのランニングフォーミュラ』
などにも載っており、
特に目新しくはないでしょう。

 

乳酸

乳酸性閾値、LTを超えると
急に乳酸が増える話が出てきます。
最近の本にふさわしく、
乳酸は疲労物質ではなく、
解糖に伴う水素イオンによる
pHの低下が筋収縮を困難にする、
と説明されています。

 

タバタ式トレーニングへの懐疑

タバタ式トレーニングにも
メリットはあると思います。
高強度の運動を20秒、

10秒のリカバリー、
それを8セットで4分間。
それで最大酸素摂取量が向上する。
しかし、本書にもあるように
特に長距離走においては、
最大酸素摂取量が向上したところで、
筋持久力をはじめ、
長時間の有酸素ランニングにより
得られるものが得られないので、
ちゃんと長時間の有酸素ランニングを
こなすべきでしょう。

 

ミトコンドリアと「シャープナー」

『リディアードのランニングバイブル』
謎の1つは、
シャープナーという練習でした。

50mダッシュと50m流しをくり返す。
そんなことできるかと(笑)。
本書では、シャープナーのやりかたが
解説されます。

また、有酸素エネルギーは
細胞内のミトコンドリアで
生成されます。
有酸素ランニングを行う意義の1つは
ミトコンドリアの数と大きさを
向上させることです。
最近の研究によると
ミトコンドリアの
「機能」を向上させるには、

150~200%LT、つまり、
シャープナー程度の走スピードが
ちょうど良いとのことです。
有酸素ランニングの後のシャープナー。
リディアード式と運動生理学が
また結びつきました。

心拍数を基準にする?

『ダニエルズのランニングフォーミュラ』
でも、心拍数で、機械的に
220 ー(年齢)
の公式を使うのは適切ではなく、
自分の正確な最大心拍数を
知る必要がある、とされます。
本書でも、もう少し複雑な
公式が紹介されています。

 

セバスチャン・コーの話

2021年現在でも
セバスチャン・コーの800mの
1’41″73(1981年)は
世界歴代3位です。
本書によると、
セバスチャン・コーの父親であり
コーチであるピーター・コーが
「スピード持久力」という
トレーニングを編み出したそうです。
たしかに、この記事を書いている私も、
セバスチャン・コーといえば、
トラックをビュンビュン走っている
イメージです。
しかし、本書によると、
ピーター・コーとの共著もある
(『中距離ランナーの科学的トレーニング』
 (大修館書店))
マーティン博士は
「セバスチャン・コー
 のトレーニングほど
 リディアードの影響を受けている
 トレーニングはない!」
と言っているそうです。
また、ピーター・コーが
セバスチャン・コーが不調の時、

リディアードと連絡を取ったという
エピソードも語られます。

 

ヒル(坂)トレーニング

『リディアードのランニングバイブル』
では、連続写真と文章での説明に
とどまりましたが、
本書では、動画を見ることができます。
Webサイト
「The science of running」
のスティーブ・マグネス氏は
このページ
「リディアードの弟子が
 ラストスパートに強かったのは、
 有酸素ランニングのおかげではなく、
 ヒルトレーニングのおかげ」
と述べています。
この記事を書いている私は、
高い有酸素能力で脚を残し、
かつ、ヒルトレーニングで
スピード、スピード持久力を
養成したから、だと思っています。

 

まとめ

『リディアードのランニングバイブル』
を買わずに、本書だけを買うのは
オススメできません。
1冊目は『ランニングバイブル』です。
あくまでも、
『ランニングバイブル』の
解説書、
裏話、的な本です。
具体的な練習方法などは

もうひとつわかりにくいです。

ただし、リディアードのファンであれば
必読でしょう。
たとえば、上記のように、

『ランニングバイブル』では
シャープナーのやり方が
わかりにくいですし、

本書では、ヒルトレーニングの動画を
見ることができます。
リディアード式と最新の運動生理学を
結びつけるような話も、
所々に出てきます。
より、リディアード式のトレーニングを
する意欲が湧いてくると思います。

 

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