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中長距離走で記録を伸ばすヒント集:為末大さんのYouTubeから考える

 

中長距離走で記録を伸ばすヒント集:為末大さんのYouTubeから考える

 

競技のやめ時 ー よりも深い話

 日本のスポーツの特徴に「本気でやるか」「やらないか」の二択、というものがある。オランダでは、8~9割は、何かになろうともしてないし、上手くなろうとも思っていない。
 なぜトレーニングをしなくてはならないのか?いきなり試合に出ればいいではないか。
 トレーニングが必要なのは、上手くなりたいから。映画を見る時は、「映画を見るのを上手くなろう」とは思っていない。
 日本的な二択ではなく、グラデーションの部分があれば、「引退」「競技をやめる」というのは不思議な感覚。トレーニング強度を低くして、ちょっとやればいいじゃない、と。

 やめ時は、自分が納得した時。
 一方で、選手は、辞めるか辞めないかを考えている時の知識の量が非常に少ない。世界は広い。いろんな人生、いろんな生き方がある。日本以外にも国がある。
 次の夢ができるかどうか。

筆者の意見

 日本でも、たいしたことない大学の陸上部あたりの中長距離ランナーだと、大学時代に匹敵するパフォーマンスは出なくてもいいので、気軽にマラソンに出る、といった人は、それなりにいるように思います。
 一方で、筆者は、それなりのパフォーマンスが出ないと、つまらないなあ、と思ってしまうタイプです。この件については、筆者は、自分を肯定するつもりは全くなく、逆に、純粋に走ることを楽しめないのかなあ、と自省します。
 「次の夢ができるかどうか。」という話は、走ることを離れて、転職などにも通じてきそうな話ですね。

 

中長距離走で練習メニューより大切なこと?

 最も大切なのは、適切な位置に自分を収めること。これがタイムの限界を決める。遅い選手は、位置を修正しなくてはならない。為末さんが指導者だったら、400mハードルで49秒(台?日本選手権に出られますね)に入るまでは、位置探しだけやる。
 生理学は枝葉。位置が根元。
 位置を支えるのが体幹。

筆者の意見

 為末さんは、短距離の人で、しかも思想が、生理学よりもかなり動き(バイオメカニクス)に偏っています。それでも、ほぼコーチをつけずに自分で試行錯誤して、世界陸上で銅メダルを2回獲った人なので、傾聴に値する見解でしょう。
 中長距離走の場合、まず、何メートルをどのくらいのタイムで何本走るか、といった練習メニューが最優先事項のように思います。
 一方で、強豪校やそうでない学校でも「動きづくり」に時間をかけている様子も見られます。ただ、この実際には走っているわけではない「動きづくり」で為末さんの言う「自分の位置」を探すことができるのでしょうか?実際に走りながら、ということになるのではないでしょうか。したがって、中長距離ランナーの場合、特にレースペースあたりの練習のときに、生理学的な効果を狙うとともに「位置探し」も行うことが望ましい、ということになりそうです。
 逆に、中長距離ランナーが、為末さんが言うように、位置探しばかりしたとしましょう。また、位置を支えるのが体幹なので、ウエイトトレーニングを頑張ったとしましょう。それで、800m以上の中長距離を持ちこたえることができるのでしょうか?おそらく無理でしょう。やはり、中長距離ランナーは、使う筋肉の有酸素能力、スピード持久力などを生理学的に鍛えなくてはならないように思います。
 結局は、何事もバランスなのだと思います。ただ「位置探し」という観点は中長距離ランナーには欠けがちかと思うので、留意すべきかと思います。

 

中長距離走トレーニングと「オールアウト」

 トレーニングにおいて「オールアウト」とは限界まで追い込むこと。
 為末さんは、オールアウトが競技力向上につながるのか、疑問に思っていた。
 練習の後半、苦しくなると、動きが崩れてくる。理想の動きと違う筋肉を使うようになる。そのように筋肉に刺激が入ることが良いことなのだろうか?
 28歳頃、冬にオールアウトしないシーズンを作ってみた。全部95%くらい。動きが乱れてきたと思うと、スーッと抜いて、リラックスした自然な動きを求める。
 すると、夏の間にも体がフレッシュに保たれている感じがあった。
 若いときには、オールアウトして、調子の極小値を作り、そこから超回復を狙うことが有効かもしれないが、ある年齢に行くと、深く落ち込みすぎて、回復しきれないのではないか。

筆者の意見

 オールアウトしないメリットの為末さんの見解は2点に分けられるでしょう。

・理想の動きで使う筋肉を最後まで適切に使い続けることができる。
・ある年齢になると、そのくらいのほうが回復できて合理的

 前者について。特に中距離練習では、レペで全力で競い合って、最後はもがいてでもチームメイトに勝ちに行く傾向があるように思います。一方で、最後のもがいた動きは、あまり理想の動きを強化するトレーニングにはなっていないようにも思います。長距離練習でも、5000mのレースペースあたりのインターバルで、最初に速く入りすぎてしまうと、後半、動きも乱れるでしょうし、ペースダウンしていますから、生理学的にも、その練習の目的だった刺激を得られないのではないかと思います。
 特に、中距離チームの場合、レペで全力で競い合うほうが高揚感があるでしょうし、合理性を超えたところから、なにか得られるものもあるでしょうから、「オールアウトしない練習」をチームとして行うのは、現実的には難しいのかもしれません。

 後者について。ある年齢までアスリートでいる人は少ないでしょう。一方、若者の場合、重要なレースのある程度の期間の前に、合宿などで、オールアウトを含む無茶めの練習をすることによって、重要なレースに大きなピークを持ってくることができる、というのはあると思います。特に中距離走の秋シーズンなどは、このような練習計画が有効のような気がします。
 一方で、中距離走も春シーズン。長距離走は年間を通じて(夏合宿は涼しいところでそれなりの期間行う前提)、「きつくない有酸素ランニングでいいので、走行距離を増やす」ことにより、重要なレースに大きなピークを持ってくることができるような気もします。 

 

中長距離ランナーは筋肉をつけていいの?

 たしかに、筋肉量とスピードの適切なバランスはあるだろう。それを超えた筋肉量はスピードを落とすだろう。
 しかし、一般的には、筋肉をつけることは、スピード低下にはつながらないだろう。よほど専門的、ボディービル的にやらない限り、そこまで大きくできない。
 したがって、普通に筋力トレーニングをしてつく筋肉については、気にしなくていいのではないか。
 短距離の歴史は巨大化。背が高くなり、体が大きくなり、体重が重くなっている。上半身が大きくなっている。地面に対して圧を加えるので、体が大きいほうが強い圧が加えられて、返ってくる反発も強い。(その分、重たいものを運ぶことになるのだが。)
 脚が大きくなると、振り回さなければいけないので大変。お尻はいい。自分の中心に近いものは大きくてよく、末端になるほど細いほうがコントロールしやすい。
 アジア人の上半身は細いので、いくらでも大きくしたら?

筆者の意見

 近年の走理論は、地面からもらった反発を、お尻、股関節あたりで受ける、というものです。そして、お尻、股関節周りの筋肉は、上記の「自分の中心に近い」に当たるので、中長距離ランナーも積極的に鍛えていいのではないかと思います。
 また、ウエイトトレーニングのような負荷の強い筋トレは、筋力をつけるだけでなく、筋繊維の動員(リクルート)を増やす効果があると言われます。人間の筋繊維は100%働いているわけではありません。働く筋繊維の割合が増えれば、1本1本の負担が減るので、スピード持久力が増す、ということのようです。ケニアあたりのエリートマラソンランナーが、マラソンとは直接が関係が遠そうな坂ダッシュを行うのは、このような効果を狙っているようです。

 まさに自分の中心と言える「体幹」については、為末さんは別の動画で語っています。バーベルのプレート(筆者はダンベル)をブンブン振り回すのが実戦的だと言っています。為末さんは、生理学より「動き」(バイオメカニクス)で語る人なので、「後半ペースが落ちる」のは「体幹が弱いから、正しい動きができなくなるから」と言っています。中長距離ランナーも積極的に鍛えていいのではないかと思います。
 背筋も自分の中心と言えるので、中長距離ランナーも積極的に鍛えていいのではないかと思います。
 近年「腹圧」ということが言われます。為末さんの別の動画で語られています。1つには腹筋の下の方を鍛えると良いと語っています。これも自分の中心と言え、中長距離ランナーも積極的に鍛えていいのではないかと思います。
 そもそも、中長距離ランナーは、デメリットになるほど筋肉をつけるのは大変のような気がします。

 

高校生の冬期練習

 陸上競技は冬で決まると言っても過言ではない。
 高校生は大人になりかけの時期。ある程度の体力はあるが、技術が未熟。高校生が強度が強いはずの練習を量もこなせるのは、体力があるというよりは、技術が未熟で出しきれないから。
 ざっくり以下の3分類。

・走る

 半分くらいでいいと思う。

・技術

 ドリル、動きづくり。1歩1歩の効率を高める。

・体力をつける

 筋力と持久力。将来を考えないんだったら、走り込んでウエイトをやれば伸びる。その後の未来はあまりなくなるけど(?、後述)。
 サーキットトレーニングがオススメ。

筆者の意見

 為末さんは短距離を念頭に置いて上記の話をしているのかもしれません。ただ、世間では、短距離でも、もっと走る比率が高いのではないかと思います。
 中長距離の高校生の場合、さらに、長い距離を走るほうに偏っているでしょう。

 為末さんの話の1つのテーマに「早すぎる最適化」というものがあります。
 ピークを若い年齢に持ってきすぎなのではないか、と。上記の「その後の未来はあまりなくなるけど」というのは、動画では解説がなされていませんが、そういうことなのだと思います。
 したがって、20代半ば~30歳あたりにピークを持ってきて、たとえば、オリンピックに出たい、というのであれば、上記の為末さんの意見を参考にして、入る高校は、よく考えたほうがいいかもしれません。
 一方で、高校、大学で、インターハイ、高校駅伝、箱根駅伝あたりを最終目標にするのであれば、ガンガン走る高校に入学すればいいのではないかと思います。オリンピックだけが競技ではありません。インターハイ、高校駅伝、箱根駅伝も一生の宝になるでしょう。

 また、『リディアードのランニングバイブル』で有名な中長距離走のコーチ、アーサー・リディアードは「子どもにダメージを与えるのは速く走り続けることであって、長く走り続けることではない」と述べており、実際にそのような気もするので、難しいですね。(実際は、強豪校と呼ばれる学校は、「速く走る」ことが多い気がしますが。)

 

中長距離走と喫煙、飲酒

 瞬発性、野球、格闘系には喫煙はそれなりにいた。
 有酸素系(中長距離走)は割合が低いと思う。
 為末さんは喫煙はしなかった。飲酒は、それほどパフォーマンスが下がらないだろうと思って、1週間に1回は酒を飲んでいた。

 選手は人間である。
 パフォーマンスが低い場合、掘り下げると、両親が非常に厳しくて自分が言いたいことが言えなかった、だから、自分自身を表現することに表現がかかっている、といったことがある。
 喫煙は良くないのだろうが、喫煙したほうが良かったんだろうね、という選手もいるだろう。
 すべてはバランスで決まっている。喫煙、飲酒くらいはやめたほうがいいのだろうが。 

筆者の意見

 言い尽くされたことかもしれませんが、ガマンのし過ぎは、反動で逆効果になる可能性も高いと思います。
 飲酒、喫煙は良くないのでしょうが、どうしてもしたかったら、0-100思考、All or nothing 思考ではなく、上限を決めるなどして、自分の欲望をコントロールする、といったことが大切なのでしょうね。
 中長距離ランナーが気にしがちな、体重コントロール、甘いもの、なども同様かと思います。
 研究では、代替できる、より害の少ないもので代替するとよい、などとするものもありますね。

 

中長距離走で合宿は意味がある?

 合宿の一番のメリットは思い出づくり。競技力だけじゃないからね。

 競技力にも意味はある。合宿をなんの目的でやっているのかが大切。

・大切なレースにピークを持っていくため

 回復に2週間かかるとすると、大切なレースの2週間前まで合宿を行うことで、大切なレースにピークを持っていくことができる。

・冬にたくさん走る。どういうところを積極的に改善したいか。

・学び。トップチームに入れてもらって、練習のしかたを学ぶ。

筆者の意見

 大切なレースにピークを持っていく「ピーキング」は、中長距離走においても、とても大切だと思います。
 ピーキングの最も簡単な考え方は「大切なレースから遠い時期は、長い、重たい練習をやって、体に負荷をかける。大切なレースに近い時期は、レースペース前後の練習をして、長い、重たい練習の時期のダメージを回復しつつ(この過程で超回復が起こり、パフォーマンスが上がるはず)、研ぎ澄ます」というものではないかと考えます。
 「長い、重たい」練習に集中するための良い環境が合宿ではないかと。

 為末さんは、大切なレースの2週間前までの合宿を例に挙げました。中長距離走の場合、大切なレースの数ヶ月前に、それなりの期間、長い、重たい練習を行う合宿をするという、もっと長期間の調子の波を考えた合宿は有効だと考えています。

 

大人のサーキットトレーニングの注意点

 プライメトリック、ボックスジャンプのような高いところから落ちてきてジャンプする類のようなものは、やらないほうがいい。できる範囲でやる。
 「老いる」ということは「固くなる」こと。人間の筋や腱はゴムみたいなもの。加齢とともに固くなる。

 それ以外は特に違いはないだろう。

 サーキットトレーニングは痩せる。有酸素を含みながら全身トレーニングだからだろう。

 

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駅伝界に新風を巻き起こす國學院大學の挑戦

 

駅伝界に新風を巻き起こす國學院大學の挑戦

 

三冠に王手。國學院大學陸上部とアディダスは大学駅伝のゲームチェンジャーになる。

 

序章:静かなる革命の予感

 「勝ちに行きますから」―この一見シンプルな言葉の中に、私は時代の転換点を見た気がした。國學院大學陸上部主将・平林清澄の口から語られたこの言葉は、単なる決意表明以上の重みを持っている。それは、長年にわたって形成されてきた大学駅伝界の序列に、真っ向から挑戦状を叩きつける若き獅子たちの雄叫びだった。

 

伝統と革新の交差点に立つ

 大学駅伝という競技は、ある意味で日本のスポーツ界における「伝統芸能」とも言える。確立された序列、暗黙の了解、長年培われてきた経験則―それらは時として革新の障壁となってきた。しかし、國學院大學は、その伝統に敬意を払いながらも、新しい風を吹き込もうとしている。

 

ゲームチェンジャーという存在

 特に注目したいのは、「ゲームチェンジャー」という概念だ。野中恒亨の存在は、まさにその体現と言えよう。彼の謙虚な言葉の裏には、既存の概念を覆す実力が隠されている。「たまたまゲームチェンジャーのように見えているだけ」という発言からは、むしろ本物の実力者の余裕すら感じられる。

 

チームの化学反応

 興味深いのは、このチームの人材配置だ。「繋ぎの区間」という、一見地味な役割に強力な選手を配置する戦略は、まさに常識への挑戦である。それは、駅伝における「花形区間」という既成概念を根本から覆すアプローチだ。この戦略の成功は、チーム全体の価値観の転換を象徴している。

 

技術と精神の融合

 アディダスのシューズに関する選手たちの言葉にも、注目すべき深い示唆が含まれている。単なる道具の選択ではなく、それぞれの走者が自身の特性を深く理解し、それを最大限に活かすための思考を重ねている。これは、現代のアスリートたちの知的な側面を如実に表している。

 

謙虚さという武器

 最も印象的なのは、勝利を重ねながらも「チャレンジャー」としての意識を持ち続ける姿勢だ。平林の「まだまだやるべきこと、変えるべき点はいっぱいある」という言葉には、強者の慢心ではなく、常に進化を求める謙虚な精神が表れている。

 

新しい時代の幕開け

 國學院大學の挑戦は、単なる一チームの快進撃以上の意味を持っている。それは、大学駅伝界全体に新しい価値観をもたらす可能性を秘めている。「歴史を変える」というスローガンは、決して大言壮語ではない。彼らは着実にその実現へと歩みを進めている。

 

エピローグ:未完の物語

 三冠という偉業まであと一歩。しかし、彼らの真の挑戦は、そこで終わるものではないだろう。國學院大學が示している新しい価値観は、次世代の駅伝界全体に大きな影響を与えることになるはずだ。

 それは、伝統と革新が見事に調和した、新しい駅伝の姿かもしれない。「歴史を変える」という彼らの挑戦は、まだ序章に過ぎないのかもしれない。この物語の続きを、私たちは今、固唾を飲んで見守っているのである。

 

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The Science of Running(スティーブ・マグネス):中長距離走の運動生理学と練習メニューの考え方

 

The Science of Running:中長距離走の運動生理学と練習メニューの考え方

 

筆者はSteve Magnessさんという、中長距離走のコーチです。運動科学の修士号を持っています。2019年世界陸上ドーハ大会の女子マラソン6位は、41歳のアメリカのフルタイム勤務の看護師でしたが、Steve Magnessさんが指導したそうです。

 

『The Science of Running』の序文

市民ランナー向けではなく、トップレベルのランナー向けの本である。
現場のコーチと実験室の科学のギャップを埋めたい。
ということが書かれています。

 

『The Science of Running』の前書き

再び、現場のコーチと実験室の科学のギャップを埋めたい。
レナート・カノーバは筋繊維の動員に関する知識をもとに、ヒルスプリントと筋力持久力サーキットを用いて、持久力を伸ばすメソッドを開発した。
科学を知れば「まね」から開放される。
ということが書かれています。

 

My Rules of Everything

私達には、以下のような傾向があるとします。

1.新しいアイディアは最初は過剰に強調され、やがて本来の位置に戻る
2.研究は測定方法次第で良し悪しが決まる
3.測定できることやわかっていることを重要視しすぎる一方で、測定できないことやわかっていないことを無視する
4.実際に存在するスペクトル(連続的な変化)ではなく、絶対的なものやどちらか一方で考える。
5.人体(およびその他ほとんどすべてのもの)の複雑さを過小評価している。
6.自分の視点で物事を見て分析し、自分の知識ベースの強みを強調しすぎる。
7.すべてのものは周期的に生まれては消えていく。
8.極端な見方をすることは良いことではない。

 

トレーニングのルール

1.維持くらいなら強化より簡単
2.トレーニングの目的は過去に行われたことの上に構築すること
3.すべてを進化させる
4.バランスをとる
5.個別指導する

 

『The Science of Running』の第一部 中長距離走の科学

1.ランニングの仕組み

能動的力学…筋肉を積極的に動かし、筋肉の収縮によって力を発生させる
受動的力学…筋肉や腱、靭帯などの身体がバネのように働き、足が地面に衝突したときのエネルギーを一時的に蓄える仕組み

脳、中枢神経系が運動が始まる場所。

その後は、高校生物のようなことが書かれています。
反応に関わる酵素はトレーニング可能。

速筋を遅筋に変えることは可能だが、長い年月のトレーニングが必要。これが、通学で走っているアフリカ人が長距離で成功している1つだろう。

走る時にすべての筋繊維を動員できるわけではない。(その逆が火事場の馬鹿力。)
トレーニングにより、動員を増やせる。

受動的力学を享受するために、フォームが重要。
能動的力学のみが考えられがち。

 

2.疲労は味方か敵か?

疲労は体を守るためのメカニズム。
体が好む自然な平衡状態であるホメオスタシス(恒常性)をはるかに超えてしまっているから。

速筋線維が多いほど、力は大きいが、疲労耐性は低くなる。

 

3.脳:マスターコントローラー

「2.疲労は味方か敵か?」で述べた「疲労は体を守るためのメカニズム」について、脳の観点から論じています。

 

4.酸素の問題?

酸素の運搬に問題がある選手もいれば、利用に問題がある選手もいる。
どの段階を改善するかが大切。

VO2max(最大酸素摂取量)はそこまで重要ではない。

 

5.VO2maxについての誤った考え

トレーニング強度の基準にVO2maxを使うのはふさわしくない。

VO2maxの向上を目指すべきでもない。

 

6.乳酸、酸、その他の副産物

筆者が考えるLTを引き上げるトレーニングが書かれています。

また、Renato Canovaの研究によるMaximum Lactate Steady State(ケニアのエリートランナーが5kmや10kmのレース中に血中乳酸濃度を安定している状態)の養成のしかたが書かれています。

 

7.効率性

ランニングエコノミーについて書かれています。

アキレス腱は運動エネルギーの35%を貯蔵し、足のアーチにある腱は17%を貯蔵する。

(当たり前だが)走るフォームが大切。

長距離ランナーも、ランニングエコノミーを高めるために、ホップ、ジャンプ、バウンドなどのリアクティブ・プライオメトリック・トレーニングが有効。
また、60~100mほどの加速走も有効。

頻繁にトレーニングしている速度で走る方が効率的。
つまり、レース前はレースペースの練習を多く入れる、ということでしょう。

接地のフォアフットストライク、ミッドフットストライク、ヒールストライクについて考察しています。

 

8.脳と筋肉の関係性

トレーニングにより速筋から遅筋に変化する可能性はある。
これは、長距離ランナーがスプリントやパワー系のアスリートに比べて、パフォーマンスのピークに達するのが遅い傾向にあることを部分的に説明できる。

内的動機、外的動機の両方が大切

アスリートは苦痛に耐える力が大きい

 

9.トレーニングの遺伝学

トレーニング刺激→メッセンジャー→シグナル伝達経路→遺伝的な反応→機能的な適応
という順序でトレーニングとその効果が現れる、という難しい話が書いてあります。

ミトコンドリアの発達を意図しても、複数のトレーニングの方法がある、ということでしょう。

 

10.トレーニングの適応性に関する理論

疲労→ストレスに対する「警報」→回復→適応→トレーニング前よりパフォーマンスが高まる

トレーニング負荷は低すぎても高すぎても適応が少なくなる

刺激に対する適応は個人個人で異なる

 

11.トレーニングの量と強度

コーチは科学的研究がトレーニングについて何を言っているのかを理解することが大切。
科学的研究が言っていることがなぜ多くのコーチが推奨していることと違うのかが、さらに大切。

十分なトレーニングを積んだランナーが、LT付近の強度のトレーニングをすると、VO2MAXは向上しないが、LTは向上する。

実験からも、中長距離の常識通り、高強度のトレーニングをする前に、適度な強度の土台(中長距離ランナーなら、まずまずのペースで90分ほどJogしても、そこまで疲労を残さないような基礎体力でしょう。)を築くべき。

ミトコンドリアの生合成につながる適応を達成するには2つの全く異なる方法がある。このことは、これらの適応を最大化するためには、両方の刺激が必要であり、個人やそのトレーニング状況によっては、一方の経路が他方よりも活性化しにくい場合があるということを示唆している。

トレーニングの目的は、目標とするペースで走れる期間を、レース本番の距離に達するまで延長すること。

 

12.トレーニングの期分け

期分けとは、期間ごとにトレーニングの重点や目標を変更するプロセス。

線形モデル…リディアードが行った、有酸素ランニング→ヒルトレーニング→トラックトレーニング、と徐々に短く、速く、研ぎ澄ましてゆく期分け。

漏斗モデル…専門とする距離のレースペースに向けて、長くゆっくりの側と、短く速くの側と、両方からアプローチする期分け。レナト・カノーヴァ(Renato Canova)などが用いている。

 

13.私達はここ(運動生理学)からどこへ行くのか?

科学者とコーチの違い、研究を現実の世界に適用する際の問題点、などが書かれています。

 

『The Science of Running』の第2部 トレーニングのしかた

 

14.トレーニングの哲学

コーチが知っておくべき3つの重要な要素
1. 求めているトレーニング適応。
2. どのような刺激がその適応につながるのか?
3. どのくらいの量で十分なのか?

 

15.私達は何を達成しようとしているのか?

前半は、再び、疲労について書かれています。

すべての走スピードはつながっている。私達はトレーニングを個別に考えがちだが、すべての走スピードの間には大きな相互作用がある。つまり、分類は、専門種目のレースペースから始まり、連続性のあるものとして考えるべき。それぞれのトレーニング強度は、前後の強度をサポートする。

Recovery
General Endurance…専門より3つ長いレースペース
Aerobic Support…専門より2つ長いレースペース
Direct Endurance Support…専門より1つ長いレースペース
Specific…専門のレースペース
Direct Speed Support…専門より1つ短いレースペース
Anaerobic Support…専門より2つ短いレースペース
General Speed…専門より3つ短いレースペース
Neuromuscular

トレーニングのペースごとに微妙に異なる刺激が与えられ、異なる適応が得られるので、例えば、LT走と、専門のレースのペースのみ、など特定のペースの練習のみにするのは望ましくない。

従来、トレーニングは、ゆっくり長く→速く短くの順番で行うとされてきた。
しかし、本書では、専門種目のレースペースをピラミッドの頂点として、ピラミッドの土台には、ゆっくり長くと速く短くがある。たとえば、スピード持久力を養成するためには、純スピードが必要。
ただし、本記事の筆者の私見だが、本書のようなピラミッドでうまくいくためには、相当の体力、たとえば5000mで男子だと15分台、が必要で、そうでない場合、従来のピラミッドモデルが良いのではないかと思われる。体力がない選手の場合、ゆっくり長くと速く短くを同時期に両立させるのは困難で、目的が達成できない可能性が高い。また、故障のリスクも高い。

 

16.練習メニューを創る、操る

1.適応と方向性
2.向上か維持か
3.過負荷の度合い

 

17.トレーニングを個人に合わせる

個々人が、速筋寄りか遅筋寄りかでの、トレーニングの違いについて書かれています。
ただし、本記事の筆者の私見ですが、本書はエリートランナー向けであり、並の中長距離選手は、とりあえず90分ほどJogできる体力をつけるのは大前提だと思います。あとは、長めのトラック練習は、5000mのレースペースを基準にペース設定をすれば、本書に書いてあるような練習になると思います。

 

18.練習メニューを定義する

 

steady running

マラソンペースより5~10%遅い。会話はできるが息継ぎが必要になる。

 

easy running

マラソンペースより25%ほど遅い。楽に会話ができる。

 

Strides(流し)

100~150m程度を、十分な回復をしながら、1500m~5000mのレースペースで速いスピードでくり返す。
有酸素ランニングが多い時期にスピードを維持する、良い動き、速筋繊維の動員、翌日の練習のために筋肉の適度な緊張を保つ、などが目的。

 

Surges(急上昇、波)

有酸素ランニングの途中で行うStrides。5000mのレースペースかそれより速く、15~60秒行う。
レースペースへのスムーズな移行。ペース変化のときに速筋を動員する訓練。
たとえば、10kmの有酸素ランニングの途中で
30″×6 2’30”空けて
45″×6 2’15″空けて
60″×6 2’00″空けて

 

Pickups

ランニングの終盤にペースを徐々に持続的に上げていく。最後の2~10分をマラソンペース、LTペースまで上げる。

 

Progressions

Easy→マラソンペースかやや速いまで上げる。

トラックでのインターバルで徐々に上げる。

 

Alternations(交互)

速い区間と遅い区間を交互に走る。
スピードや距離により、800m~マラソン用に使える。
目的は、遅い区間もそれなりのスピードで走ることにより、乳酸の使い方を訓練するなど。
たとえば、5000m向けには
900(5000RP)700(steady)×4 など。

 

Combo Workouts

2つ以上の異なるタイプのワークアウトや強度を組み合わせたもの。たとえば、

LT走20分+スプリント10秒×6

など。移行期や維持(維持は向上よりはるかに簡単の原則)に使う。

 

Blend Workouts

2つ以上の異なる走スピード度が混ざっているもの。たとえば、

1000、400、900、300、800、200を長い距離を5000mRPで、短い距離を1500mRPで、間は3分レスト。

 

ボトムアップとトップダウン

ボトムアップは、インターバル走で、レースペースで走り、続けて走る距離を徐々に伸ばす。

トップダウンは、インターバル走で、続けて走る距離はそのままで、ペースをレースペースに向けて上げていく。

 

リディアード式タイムトライアル

レースの距離を走るなら、2~4%遅くする。

レースペースで走るなら、距離を3/4ほどにする。

 

19.すべてをまとめる:期分け

1シーズン内のみの期分けだけでなく、選手のキャリアを通しての期分けについても語られます。

後半は、適度な筋肉の緊張について語られます。

 

20.それぞれの種目のトレーニング

800m、1500m、5000m、10000m、マラソンの具体的な練習メニューと考え方が述べられています。スピード側から、持久側から、専門種目のレースペース、メンテナンスというアプローチがされています。

 

21.筋力トレーニングのしかた

筋持久力について、「General Strength Endurance」「High Intensity Strength Endurance」に分けて述べています。
その後は、いわゆる筋トレについて述べています。

 

鍛錬期

週2回、フルスクワットとクリーン、4~5回を2セット

試合準備期

週1~2回、スクワットジャンプ(体重の30%のバーベル)+スタンディングロングジャンプ(体重の20%のダンベル)+ボックスジャンプ(体重の10~15%のダンベル)を6~10回ずつ(レスト30~90秒)を2セット(セット間3~4分)

後期試合準備期

週1回、スタンディングロングジャンプ+ボックスジャンプ+片足スクワットジャンプを6~10回ずつ(レスト30~90秒)を1セット

両足leg hop+両足tuck jumpを5回ずつ1セット

試合期

週1回、両足leg hop+片足leg hop+バウンディングを6~8回ずつ1セット

ピーキング時

何もしないか維持する程度。

 

ラストスパートの鍛え方、5000mのレースにおける乳酸定常状態の作り方(エリート向けらしい)についても述べています。

 

22.ランニングのバイオメカニクス

走りの動きについて述べられています。

 

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800m走で後半にペースが落ちる原因と対策の練習メニュー。ペース配分。

 

800m走で後半にペースが落ちる原因と対策の練習メニュー

 

はじめに

800m競走で
レースの後半で
ペースダウンしてしまい
悩んでいませんか?

実は、たとえば
もう少し長い1000mを
練習で走る、といった取り組みだけでは
上手く行かない可能性も高いです。

本記事は800mの後半を走り切るために、
科学的な根拠に基づいて、

効果的なトレーニング方法を
紹介します。
中学生、高校生から
トップレベルのアスリートまで、
レースでペースを保ちながら
自己ベストを更新するための
ヒントとテクニックを
お届けします。

本記事を読めば、
あなたの自己ベストに
革命をもたらし、
目標に到達する手助けとなることを
確信しています。
今すぐ読み進めて、
800mでの勝利に向けた
足跡を刻み始めましょう!

800m走で後半ペースが
ダウンするのは、
いくつか原因が考えられます。

 

1.前半のオーバーペース、ペース配分

特に、中学生、高校生は
単に、前半のオーバーペースで
後半にペースを落とし、
全体のタイムも落としている場合が
多いようです。

800m走の適切なペース配分は、
後半より前半の方が
3秒ほど早い、
程度だと言われることが多いです。

レースで自己ベストを狙うにしても
適切な目標を設定し、
その目標タイムに適切な
1周目の入りのペース感覚を
日々の練習で養いましょう。

また、知人に頼んで、
100mあたりでタイムの
流し読みをしてもらうのも
いいと思います。
普通、200mで読んでもらえることが
多いかと思いますが、
200mでは手遅れの可能性も
あります。

 

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『<東大式>マラソン最速メソッド』
の著者、東大生箱根ランナーの
松本翔さんも、著書の中で
「必ずケアポールの上に仰向けになって
 背中の張りをほぐし、肩甲骨を
 自然な位置にリセットします」
と書いています。

身体の悩みにアプローチ
体のコリやねじれ、
猫背の改善…
あらゆる体の悩みに対して、
このケアポールは効果を発揮します。

使いやすさ
1メートルの長さと
15センチメートルの底面直径で、
どんな場所でも気軽に使用できます。

🌟 まとめ 🌟

健康的な身体は、
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信じることができるこの
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皆さんにもおすすめしたいと思います。

 

2.有酸素能力が低い

800mで後半にペースダウンする場合、
次に論じる「スピード持久力」の問題が
まっ先に語られがちで
1000mのレペをするとか
インターバルをするとか
という話になりがちです。

800m走の
有酸素性エネルギー:無酸素エネルギーの
具体的な割合は男子の場合

60:40ほど[1]

とされます。

女子はレースの時間が長いので、
さらに有酸素性に寄ります。

経験上も、
陸上部の人はわかると思いますが、

3000m、5000mを走れる人は、
スプリントがなくても
意外に、自分にとっては
かなりのハイペースで
400mを通過しても
そのまま800mを
走り切ることができます。

練習の1000m1本くらいになると
長距離の人に負ける
800mランナーは多いでしょう。

したがって、800mの後半に
ペースが落ちるのを防ぐには
有酸素能力の向上が
効果が高いと思われます。

有酸素能力の向上に
効果的な練習は以下のとおりです。
各練習について詳しくは

練習の種類と目的

を御覧ください。

 

快調走

Jogの一種です。
体感としては、
快調に走り、快調に終えるペース。
適度な疲労感がありますが、
心地よい範囲内での疲れ。
無理なく続けられる感覚、
といったあたりが大切です。

体感でいいと思いますが
具体的にどのくらいのペースで
走ればいいかは、
『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』
(ベースボール・マガジン社)に
載っています。

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もともと800mのタイムでの
換算は載っていないのですが
後半にペースが落ちるような
800mランナーは、
1500mではなくて、
3000m、5000mの持ちタイムから
快調走のペースを
決めたほうが、身の丈に合い
いいと思います。

たとえば、
5000mが17’00″の人は
4’15″~4’49″/kmで
快調走をすればいい、
といったことが表になっています。

時間は、
中学生は40分
高校生は60分
大学生は90分
ほど行いたいです。

もちろん、快調走の前に
スローJogで上記の時間を走っても、
それほど疲れない体力を
つけておく必要があります。
少しずつ時間を伸ばせば、
このような体力は
つけることができます。

Jogといえども、
継続時間が長いので、
有酸素能力の向上の適応のための
刺激を十分に得られるはずです。

 

LT走(閾値走)

LT(Lactate Threshold)とは、
乳酸性作業閾値
血中乳酸濃度が急激に上昇する運動強度。
詳しくはこちらをご覧ください。

中長距離の生理学

LTを引き上げるには、
LTあたりのペースで走るのが
いいとされます。
これも、
『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』
(ベースボール・マガジン社)に
持ちタイムとLTペースの
換算表が載っています。
たとえば、
5000mが17’00″の人は
3’40″/kmがLTペースです。

時間はどのくらいかと言うと、
『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』
では、週の走行距離が64kmまでの人は

20分、または、
5~6分(1分JOG)×4

としています。
800mの後半で困っている人は
多くは64km/週でしょう。
下の分割するLT走を
クルーズインターバルと
呼んでいます。

 

3000RPでのインターバル

RPとはレースペースのことです。
3000mRPのインターバルの
代表的なものとして

400(200jog)×10

などが挙げられます。

人間の体は複雑なので
「この練習がこの能力を鍛える」
と1対1で対応するわけでは
ありませんが、
この程度のインターバルは
何らかの改善により
有酸素能力を向上させることが
期待されます。

 

3.スピード持久力が低い

上でも書きましたが
「後半ペースが落ちるのだから
 スピード持久力が足りない」
というのはわかりやすい話だと
思います。

 

1000mをほぼ全力で走る

1本でもいいですし
1000×2 10分おき
といったメニューでもいいでしょう。

800mよりやや長い距離を
ほぼ全力で走りますから、
スピード持久力向上の
適応を得ることが期待されます。

 

坂ダッシュ、ウエイトトレーニング

以外なメニューが出てきましたね。
坂ダッシュ、
ウエイトトレーニングには、
スピード持久力を高める
効果もあります。
東アフリカ系の
エリートマラソンランナーは、
鍛錬期に坂ダッシュをやる
一団もあります。

坂ダッシュ、
ウエイトトレーニングが、なぜ
スピード持久力に有効なのかは
以下のページに
詳しく書いてあります。

スピード持久力

簡単に説明すると、
人間、筋肉の100%が
働いているわけではありません。
そこで、坂ダッシュや
ウエイトトレーニングをすると
動員できる筋肉の割合を
増やすことができます。
働く筋繊維の本数が増えれば、
1本1本の筋繊維の負担は
減りますから、
スピード持久力が向上する
というわけです。

 

4.中間疾走の技術が低い

800m走は、
いかに中間疾走でリラックスして
消耗を減らすかも
大切な要素の1つです。

世界陸上400mHで銅メダルを2回獲った
為末大さんのYouTubeチャンネル
「為末大学」の2020/05/29
「バックストレートの走り方」

を見るといいと思います。
400mの話ですが、
為末さんも冒頭で
「近い技術は800mにもある」
と述べています。

コツは、接地だけ力を入れて、
あとは力を抜く、
ということです。

 

5.レースペースの練習が足りない

特に春先に多い話だと思います。
春先に800mで異常に悪いタイムが
出ることが多いです。

もちろん、生理学的指標が
仕上がっていない、というのも
原因の1つかと思います。

一方、走りの動きの問題も
あるのではないかと思います。
冬練からレースペースの練習に
移行しても、
冬の間の小さい動きになっているので、
おそらく、レースに出ても、
シーズン最中よりも
動きが小さく、
前半で思ったより
消耗していて
後半ペースを落とし、
タイムが悪い
ということなのではないかと思います。

経験則から言うと、
ピークと考えている試合の前に、
実際に、何試合か出る
というのがいいようです。
なぜか、自分の学校での練習では
あまりうまく行かないケースが
多いような気がします。

 

800mの練習法

 

Twitter

【中距離走】800m、1500m。初心者、中学生、女子の練習のコツ。:基礎体力のつけ方、フォーム

 

【中距離走】800m、1500m。初心者、中学生、女子の練習のコツ。:基礎体力のつけ方、フォーム

 

・初心者

・中学生

・女子

 

800、1500m初心者の練習のコツ

 

陸上初心者で、
練習のしかたがわからず
悩んでいませんか?

実は、ほんのいくつかのコツを
知るだけで、
むしろ経験者よりも
中長距離の通に
なれるかもしれません。

本記事を読めば、
走り方、基礎体力のつけ方、
初心者のうちに試合に出る場合、
などについて、
理解することができます。

 

初心者の定義

「陸上初心者」と言っても、
様々な人が考えられます。
たとえば、
それまでにも運動部に入っていて、
半端な陸上部員より
も走っていた人もいるでしょう。

このページでは「初心者」を、
「今までの人生で、
あまり走ってこなかった人」
と定義します。

もちろん、運動部で
今まで走ってきた人も、
「走り」や「中距離走」についての
知識は少ないでしょうから、
このページで得られるものは
多いと思います。

 

筋肉のコリ、猫背に悩む人へ

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・信頼性
陸上界では有名な
NISHIブランドの商品です。
ニシ・スポーツ社は
アシックスの100%子会社です。

陸上の選手も実践!
『<東大式>マラソン最速メソッド』
の著者、東大生箱根ランナーの
松本翔さんも、著書の中で
「必ずケアポールの上に仰向けになって
 背中の張りをほぐし、肩甲骨を
 自然な位置にリセットします」
と書いています。

身体の悩みにアプローチ
体のコリやねじれ、
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あらゆる体の悩みに対して、
このケアポールは効果を発揮します。

使いやすさ
1メートルの長さと
15センチメートルの底面直径で、
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🌟 まとめ 🌟

健康的な身体は、
快適な毎日を過ごすための第一歩です。
私が実際に試して、
信じることができるこの
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皆さんにもおすすめしたいと思います。

 

初心者が走る前に

世界陸上400mハードルで
銅メダルを2回獲った
為末大さんのYouTubeチャンネル
「為末大学」には、
走りの初心者のための
動画もあります。
YouTubeの検索窓に
表題を入れると、
すぐに見つかると思います。

2022/01/14「中学生(初心者)でもわかる走りへのアドバイス」

・空き缶をつぶすように、地面を真上から踏む
・落ち葉の上にふわっと足を置くイメージ
・まっすぐ前を見る、体を真っ直ぐにする

2021/06/06「陸上部に入りました、何から始めたら良いですか?」

・片足で地面に力を加え、乗っかる

2022/02/23「市民マラソンランナーの基本練習」

・股関節で走る
・末端に近い部分を稼働させない

2022/04/27「身体が前に倒れる力を利用したランニングフォームの基礎」

・先に自分が前に倒れて、後から足が出てくる

2021/06/22「結局陸上で一番大事なことって何?」

・体の位置を探ること

2020/06/02「蹴らない走り方」
2023/03/08「蹴らない走り方」

 

800m、1500mの初心者の練習法

 

1.Jogを長くできるようにする

まずは、ゆっくりで
楽なペースで、
最初は10分でもいいから、
少しずつ時間を増やして、
中学生なら30分
高校生なら40分
大学生なら60分ほど
スローJogをしても、
それほど疲れない
体力をつけましょう。
段階を踏めば、
このような体力は、
つけられるものです。

時間を増やす時の目安は、
前の時間でそれほど
疲れなくなったら、です。
1度に増やすのは、
5~10分ほどかと思います。

1500mはかなり、800mは意外に
有酸素寄りなので

走り始めたばかりの人は、
スローJog中心の練習で
順調にタイムが伸びます。

ーーー裏技ーーー

速歩で心拍数120/分程度に
達する坂、または、
傾斜をつけられる
ルームランナーを使えば、
故障のリスクなく、歩くだけで
心肺機能、脚筋力、
筋持久力を養成できます。

ただし、走りとは違う動きが
固まってしまう可能性があります。
上記の為末大さんの動画を見て
走りのドリルと併用すると
いいでしょう。

ーーーーーーーーーーーーーーー

ただし、ゆっくり走ってばかりだと、
日を重ねるにつれて、
足が重くなると思います。
これは疲労ではなく、
神経系(人間はそのようにできています)
や筋肉の弛緩の問題です。

初心者でも、何日かに1回は、
Jogを終える10分ほど前に
レースペースあたりで
リラックスして走る
(流し、ウインドスプリント
 と言います)
練習を100m×数本、入れましょう。
そうすると、
走りの軽やかさを保ちつつ
Jogを継続できると思います。

この間にレースに出たい場合
1週間前と3日前あたりに
ちょっとレースペースの
練習を入れると、
レースで少し走れると思います。

たとえば、
800mなら、
500×2 10分おき

1500mなら
1000×2 10分おき

といった練習を入れると
いいと思います。

 

2.筋トレ

筋トレは故障のリスクが少ないので
Jogの体力とも相談して
ガンガンやっていいと思います。

やはり、為末大さんの
YouTubeチャンネル
「為末大学」がいいと思います。
筋トレのやり方のみならず、
意義も教えてもらえます。

2020/03/09
「体幹トレーニングと股関節」
なぜ体幹が大切なのか?

2022/04/18
「股関節まわりを鍛えるワイドスクワットジャンプ」

2020/04/02
「フライングスプリット」
大臀筋、内転筋

2020/04/09
「室内で出来るトレーニング:ランジ」
大殿筋、腹圧

2020/08/23
「背筋の役割」

2022/04/04
「競技に効果的な腹筋の筋トレ方法」

 

3.Jogを快調走にする

上記のように
中学生30分

高校生40分
大学生60分ほど
スローJogをしても
それほど疲れなくなったら、
Jogのペースを上げて、
快調走にしましょう。
Jogといえども、継続時間が長いので
有酸素練習の1つとして
有力な練習であると考えます。

快調走も、最初は疲れますが
走っている途中は、
きつくないペースです。

どのくらいの持ちタイムの人が、
どのくらいのペースで
快調走をすべきかは
『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』
(ベースボール・マガジン社)
に載っています。

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たとえば、1500mが5’30″の人は
5’01″~5’40″程度で
快調走をすると、
有酸素能力の向上と
疲労の少なさの
バランスがいい、ということです。

 

4.少しずつトラック練習を入れてみる

上でも、Jogの時間を増やす過程で
試合に出たい場合の
トラック練習の例を書きました。
現段階では、上記のものでも、
800m、1500mの練習として
十分だと思います。
ただ、もう少し、
バリエーションを増やし、
たまに入れてもいいかもしれません。

たとえば、800mなら
1000(1500RP)500(RP)300(400mRP)
RPはレースペースの略。10分おきスタート。
1000はスピード持久力を

高めるでしょうし、
300は、レースより速く走ることにより
レースで楽に走れるでしょう。

1500mなら
1600(3000RP)1000(RP)500(800RP)
15分おき、10分おきスタート。
1600はスピード持久力を
高めるでしょうし、
500は、レースより速く走ることにより
レースで楽に走れるでしょう。

 

4.中級者へ

快調走をこなしても
それほど疲労を残さなくなったら、
中距離練習をこなす
基礎体力がついたと言えるでしょう。
下記のページで、
中、上級者向けの練習に移りましょう!

800mの練習法

1500mの練習法

 

中学生の800、1500mの練習の注意点

 

中学生だから、
成人向けの練習メニューが
参考にならないと思って
悩んでいませんか?

実は、いくつかのことに気をつければ
中学生も、成人向けのメニューを参考に
練習して、順調に
記録を伸ばすことができます。

本記事を読めば、
運動生理学、意欲、
走りの動きについて
中学生と指導者が
気をつけるべき
いくつかのポイントを
知ることができます。

 

運動生理学、意欲

『リディアードのランニングバイブル』
(大修館書店)には
「少年・少女のランニング」
という章があります。

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『リディアードのランニングバイブル』や、
リディアードが誰かについては、
当サイトのトップページに書いてあります。

トップページ

リディアードは、
適切にペースを守った
有酸素ランニングであれば、

私自身の経験と
諸外国での研究や実験を
考え合わせると、
7歳ぐらいから
何の悪影響も出さずに
ある程度の量の長距離走を
消化できるようである。

と述べています。
少年・少女にとって、
有害なのは、
無理して追い込むような無酸素練習、
加えて、
トレーニングを強いるコーチ。
子どもにスポーツを
楽しませるより、
自分の子供が他人の子どもを
負かすのを見ることのほうに
興味があり、
自分が優越感に
浸りたいがために
自分の子どもを強いている親、
のようです。
このような大人が、
子どもの才能をぶち壊すこともある、
とリディアードは述べています。

逆に言うと、
以上のようなことに気をつければ、
中学生も、
ペースや本数を調整すれば、
成人と同じような方針で
練習をすることができます。

成人の800m、1500mの練習法は
下記に書いてあります。

800mの練習法

1500mの練習法

 

走りの動き:早すぎる最適化

YouTubeで
「早すぎる最適化」と検索すると
為末大さんのYouTubeチャンネルの

『なぜ昔の天才が伸びなくなるのか
 【為末大学】早すぎる最適化』

という動画が出てきます。
単純に大人を小さくしたものが
子どもではないし、
子どもは筋力が弱いし、
手足もやや短めなので、
子どものときに最適化した動きが
大人になると最適ではなくなる
という話です。

為末さんは中学チャンピオン、
いわば早熟です。
その一方で、400mハードルに
種目は変えましたが、
世界陸上で銅メダルを2回獲り
成人してからも成功しています。
小、中学校の先生は、
為末さんの動きを
あまりいじらなかったそうです。
高校、大学くらいから、
動きを洗練させたそうです。

運動生理学と
バイオメカニクス(走りの動き)と
違いはありますが、
リディアードと為末さんは、
おおむね、同じようなことを
言っているでしょうね。

 

女子の800m、1500mの練習の注意点

 

女子は、なにか男子と違う
練習をしなければいけないと思って、
悩んでいませんか?

実は、女子も
いくつかのことに気をつければ
男子と同じ練習をしても
大丈夫です。

本記事を読めば、
レースの時間が
長いことからくる違い、
骨盤の大きさかたくる違い
などについて
理解することができます。

 

運動生理学的な男子との違い

近年、言うまでもなく、
陸上界では女子が
大活躍しています。
したがって、
女子が800、1500m走に
取り組むことは、
全く問題ないですし、
練習メニューも
ほぼ、男子と同じ考え方で
いいと思います。

800mの練習法

1500mの練習法

ただし、本記事で何回も出てくる
「為末大学」には、

『男子の短距離と女子の短距離は
 違う競技【為末大学】』

という動画があります。
走る距離は同じでも、
女子の方が走る時間が長いので、
練習も走る時間に
着目したほうがいいのではないか
と述べています。

有酸素性エネルギー:無酸素エネルギーの
具体的な割合は男子の場合

800m   60:40ほど[1]
1500m    77:23ほど[2]
5000m~ ほどんど有酸素性

とされます。
女子はレースの時間が長いので、
さらに有酸素性に寄ります。

したがって、もともと中距離走は
直感に反して、
かなり有酸素的なのですが、
女子の場合、
もっと有酸素練習が多くても
いいのではないか、ということです。

 

走りの動きの男子との違い

本記事で何回も出てくる
「為末大学」には、
「女子は上半身が大事」
という動画があります。
女性は骨盤が大きいので、
走る時、上半身のねじれが
大きくなるので、
広背筋、外腹斜筋あたりを

鍛えたほうがいいのではないか、
というのが為末さんの仮説です。

 

女子特有の問題

女子には、女子特有の
問題があります。
男性コーチは意識して、
デリカシーをもって
接したほうがいいでしょうね。
このあたり、十分に、
指導者間での講習会などが
開かれることを望みます。
女性特有の問題についても、
『リディアードのランニングバイブル』の
「女性のランニングについて」の章に、
少しだけ記述があります。

 

Twitter

女子800m走で2分30秒を切る練習メニュー:快調走、レペ

 

女子800m走で2分30秒を切る練習メニュー:快調走、レペ

 

800mでどうしても
2分30秒を切れずに
悩んでいませんか?

実は、800mは
ただ、なんとなくトラックで
苦しい練習をしていても
なかなか記録は伸びません。

本記事を読めば
現場の最先端の考え方と

運動生理学に基づいて、
効果的に2分30秒を切る
練習方法を知ることができます。

 

800mで2分30秒を切る考え方

800mの練習メニューの
一般論については

こちらで紹介しています。

基本的に、この通りにやれば、
順調に伸びます

ただ、本ページでは、
リクエストに応えて、

800m2分30秒に特化して
書いてみたいと思います。

 

練習の組み立て:漏斗型にする?

中長距離の練習の最先端の考え方は
「レースから遠い時期に、
 レースペースから遠い
 練習を行う。
 レースが近づくにつれ
 レースペースに近い
 練習を増やす」
というものです。

かつてのピラミッド型
(レースから遠い時期に
 遅い練習をし、
 レース期に速い練習をする)
に対し、

漏斗(理科で使いますね)型と
呼ばれます。
レナト・カノーヴァ氏
(Renato Canova)
という世界的コーチや、
スティーブ・マグネス
(Steve Magness)氏という
コーチなどが推奨しています。

色々な練習をするのは、
色々な刺激に対し、
体が色々な適応をするので
色々な能力を引き出せる
という考え方です。
このあたりの運動生理学は
下記のページに書いています。

中距離の運動生理学

ただ、中距離練習は負荷が高いので、
2分30秒を切れないような選手が
同時期に、色々な練習をこなすのは
厳しい可能性もあります。
ピラミッド型で、

冬は快調走メインでプラスアルファ。
試合期はレースペースメインで
プラスアルファ、程度が
現実的にこなせる練習である
可能性もあります。

1週間の組み立てとしては、
1勤1休
(ポイント練習と休養的Jogが交互)
くらいがせいぜいかと思います。

特に、冬期練習や、
シーズン中でも有酸素能力や
スタミナを維持するために、
「快調走」はポイント練習に
組み込んだほうがいいと思います。

各練習メニューについて
詳しいことは下記に書いてあります。

中距離走の練習の種類と目的

 

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身体の悩みにアプローチ
体のコリやねじれ、
猫背の改善…
あらゆる体の悩みに対して、
このケアポールは効果を発揮します。

使いやすさ
1メートルの長さと
15センチメートルの底面直径で、
どんな場所でも気軽に使用できます。

🌟 まとめ 🌟

健康的な身体は、
快適な毎日を過ごすための第一歩です。
私が実際に試して、
信じることができるこの
「ケアポール」を、
皆さんにもおすすめしたいと思います。

 

800mで2分30秒を切るための練習の種類

 

練習の種類には、
以下のようなものがあります。

RPとはレースペースの略です。

1.快調走
2.LT走
3.3000mRP(インターバル)
4.1500mRP
5.800mRP(レペ)
6.400mRP
7.坂ダッシュ、平地ダッシュ、筋トレ

 

1.快調走

快調走の前に、
まずは、ゆっくりでいいから、
少しずつ時間を増やして、
中学生なら40分
高校生なら60分
大学生なら90分ほど
Jogをしても、
それほど疲れない
体力をつけましょう。
段階を踏めば、
このような体力は、
つけられるものです。

快調走の狙いは、
リディアードは、
有酸素能力を高めるための
大切な練習と位置付けます。
有酸素エネルギーを生成する
ミトコンドリアの数と大きさを
増加させる狙いなどもあります。
また、基礎体力が向上するので
練習をしっかりこなす
体力を養成することができます。
予選、準決勝、決勝と
走り抜くスタミナを
養成することもできます。

ダニエルズは、
「イージーランニング」として、
もっと速いトレーニングの前の
故障に対する耐性づくり、
心筋の発達、血液の酸素運搬能、
筋線維の改善を目的とします。

いずれにしろ、快調に走り、
快調に終えるペース、
体調でなければなりません。

800m走の
有酸素性エネルギー:無酸素エネルギーの
具体的な割合は男子の場合

60:40ほど[1]

とされます。

女子はレースの時間が長いので、
さらに有酸素性に寄ります。
イメージに反して、
有酸素練習が大切そうだ
ということがわかると思います。
リディアードは、
1964年の東京五輪中距離2冠の
ピーター・スネルに、
マラソンをそこそこのタイムで
走れるような練習を
させたそうです。

快調走のペースは、
800mが2’35″とすると
3000mは12’00″程度でしょうか。
すると、『ダニエルズの
ランニング・フォーミュラ』
によると、快調走のペースは
5’07″~5’45″/km
あたりとなります。

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冬期や試合が遠い時期は
メインの練習になります。
試合が近い時期には、
維持程度の気持ちで、
たまに入れましょう。

 

2.LT走

LTとは、乳酸性作業閾値。
血中乳酸濃度が
急激に上昇する走スピードです。
有酸素能力の指標となります。
LTを引き上げるには、
LTペースあたりの練習を
するのがいいとされます。

普通、ペース走6000m
といったメニューになると思います。
6000m程度なら、
分割なしで走り続けていいかと思います。

一方、『ダニエルズの
ランニング・フォーミュラ』では
LT走を分割する
「クルーズインターバル」
という練習を提唱しています。
ペース走とは異なり、
LTペースで走りながらも
休息を入れます。
たとえば、
(5~6分)×4 レスト1分Jog
といったメニューになります。

LT走のペースは、
800mが2’35″とすると
3000mは12’00″程度でしょうか。
すると、『ダニエルズの
ランニング・フォーミュラ』
によると、LT走のペースは
4’24″/km
あたりとなります。

冬期や試合が遠い時期は
週1回ほど入るでしょうか。
試合が近い時期には、
維持程度の気持ちで、
たまに入れましょう。

 

3.3000mRP(インターバル)

Int 400(200)×10
Int 1000(400)×5
あたりは、
ピラミッド型にせよ、
漏斗型にせよ、
冬期練習から、
ピークの試合の2ヶ月前まであたりの
主な練習の1つになるでしょう。

試合期までにも、たまに入れて、
3000mRPから得られる能力の
維持を心がけましょう。

 

4.1500mRP

Int 400(200)×7
あたりは、
ピラミッド型にせよ、
漏斗型にせよ、
ピークの試合の1ヶ月前まであたりの
主な練習の1つになるでしょう。

1000(1500RP)500(800RP)300(400RP)
あたりは、400mRPや1500RPから
得られる能力の維持にもなりますから、
ピークの試合の時期に
行ってもいいでしょう。

 

5.800mRP(レペ)

800mの選手の試合期の
メインの練習になります。
たとえば
500×3 10分おき
400×4 6分おき
などです。

800mレースの前半、中間疾走、
ラストをイメージするなど、
タイム以外にも課題を持って
取り組みましょう。 

たとえば、1周目の
400m73″を体に叩き込む、

そのペースで楽に走れる
走りの動きを探求する、
なども目的とします。

この練習を必ず
2分30秒を切るペースで
行うことにより、
レースペースを
体に叩き込みましょう!

 

6.400mRP

短距離の400系と混ざって
400+300+200
などを行うといいと思います。

ピラミッド型なら、
試合期にやってもいいですし、
漏斗型なら、
ピークの試合の1ヶ月前まであたりの
主な練習の1つになるでしょう。

 

7.坂ダッシュ、平地ダッシュ、筋トレ

坂ダッシュについて詳しくは
下記に書いてあります。

坂道のススメ

まず、800m走は、
かなりのスピードで走るので、
スプリントが要求されます。

スプリントを効果的に
養成するのは、坂ダッシュ、
平地ダッシュ、筋トレなど、
全力に近いパワーを
出し切る練習です。

また、スプリントや
筋トレを行うと、
速筋の動員が増え、
1本1本の筋繊維の
負担が減るので、
スピード持久力の養成にも
なります。
東アフリカ系のマラソンランナーは、
この目的で坂ダッシュを
行っているようです。

スプリントは、95%ほどの感じで
リラックスして行いましょう。
レストは2~3分とり、
6秒×6から始めて、
10秒×10あたりまで増やして
いいと思います。
後ろの方を削って、
20秒ほどを入れると、
スピード持久力の
養成にもなります。

スプリントを行う時期は、
ピラミッド型なら、
試合期に近くてもいいですし、
漏斗型なら、
試合期から遠い時期に行う、
ということになります。

筋トレは、為末大さんの
YouTubeチャンネル
「為末大学」あたりを
参考にするといいかと思います。
腹筋、股関節、内転筋など、
鍛え方のみならず、
鍛える意味も解説されています。

 

800mで2分30秒を切る試合の選びかた

記録だけ狙うなら、
現在は、ペーサーがつく
記録会があります。
そのような記録会を選ぶと
いいでしょう。
2分29秒が目標タイムとして
73”ー76”
のペースが理想的でしょう。

勝負レースだったとしても、
オーバーペースだったら
1周目73″になるべく近いペースで
通過するように調整したいです。
前がそのうち落ちてきて

こっちも元気になるでしょう。

 

800mの練習法

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【中長距離走】駅伝日本一、世羅高校に学ぶ「脱管理」のチームづくり(岩本真弥、光文社新書)の感想:自主性と生活指導

 

【中長距離走】駅伝日本一、世羅高校に学ぶ「脱管理」のチームづくり(岩本真弥、光文社新書)の感想:自主性と生活指導

 

『駅伝日本一、世羅高校に学ぶ「脱管理」のチームづくり』の著者

 著者の岩本真弥さんは、1965年生まれ、広島県出身。福岡大学卒業。元広島県立世羅高校教諭。世羅高校を全国高校駅伝にて男子5回、女子1回合わせて計6回優勝に導きました。2015年は男女アベック優勝でした。2019年から、2023年現在は、実業団のダイソー女子駅伝部の監督を務めています。
 また、岩本真弥さん自身が世羅高校OBで、青山学院大学長距離の原晋監督の1学年上です。

 

『駅伝日本一、世羅高校に学ぶ「脱管理」のチームづくり』の感想

 

女子は自主的に優勝を目指し始めた

 先述のように、2015年、世羅高校は、全国高校駅伝で男女アベック優勝を達成しました。ただ、女子は、監督主導で優勝を目指したのではなく、女子選手のモチベーションは「男子だけ人気者になったらこっちも困るよね」とか「なんで男子ばっかり注目されるん?」という話が出て、みんながだんだん燃えてきて、チームがひとつにまとまったそうです(笑)。
 筆者は、このような雰囲気になったのも、岩本真弥(元)先生の指導方針が大きかったのではないかと思いました。
 岩本真弥(元)先生が怒るのは、学校の「世羅三訓」、挨拶励行、整理整頓、時間厳守についてだけだそうです。大会前も、ほとんど何も言わない。入学当初は技術的なことを言われたそうですが、練習のやり方なども、生徒に任せる、生徒を信用して自主性を認めてくれるのだそうです。
 普段自主性を認めているからこそ、女子も自主的に、優勝を目指そうという雰囲気になったのだと思います。トップダウン型の強権的な指導者だったら、世羅高校女子の優勝は可能だったでしょうか?

 

指導の根本は日常生活

 先述のように、世羅高校には「世羅三訓」があります。岩本真弥(元)先生は、「タイムさえ良ければそれでいいのではないか」というのは、プロスポーツの世界に限ってのことだとします。岩本真弥(元)先生は、陸上部監督である前に、学校の先生なので、日常生活の指導は大前提。それに加え、生活態度が悪い生徒は、長期的には、必ずどこかで崩れていくと思っているようです。さらに、取り組んでいるのは駅伝なので、集団のルールがおろそかになった状態で、チームとして機能するわけがない、と。
 部活の指導については、普通の公立中学の陸上部で7年間に13回の日本一を達成された原田隆史先生は、「心・技・体・生活」とし、「心」と「生活」を大切にしていました。原田隆史先生は、現在はビジネスマンも指導しており、その時も、「心・技・体・生活」は変わりません。
 また、プロスポーツに関しても、プロ野球の故野村克也監督は「人間的成長なくして、技術的進歩なし」と指導していました。現在、プロ野球界の指導者層には、野村監督の弟子がたくさんいます。

 

速さではなく強さ

 岩本真弥(元)先生によると、「強さ」とは、「心の強さ」「メンタルの安定」であり、そのような選手が最終的には結果を残せると考えているようです。
 「速いけど強さがない」選手は、自分の心をコントロールできず、素晴らしい能力を活かしきれないまま終わっていき、そのような選手を山のようにいる、そうです。
 結局、強さを支えるのは人間性であり、人間性を磨くのは、普段の生活の中。そんな中で監督の役割は、生徒が自分で考えて自分で動く仕掛けを作ることだと考えているようです。
 人間性という点では、上記の日常生活の野村監督の話で出てきました。自主性という点では、やはり、最初の女子が優勝をめざした経緯に出てきました。生徒を管理するのをやめようと。

 

岩本真弥監督と原晋監督の対談

 『駅伝日本一、世羅高校に学ぶ「脱管理」のチームづくり』の巻末には、岩本真弥監督と原晋監督の世羅高校1学年違い対談が掲載されています。お2人の指導は、自主自律を求めるところ、生活習慣を重視する面で似ています。
 そして、最後は「礼を尽くす」「義理人情」といったものが大切ではないか、ということでも、同意しています。

 

まとめ

 『駅伝日本一、世羅高校に学ぶ「脱管理」のチームづくり』には、中長距離走の技術的な話は、ほとんど書かれていません。一方、世羅高校は実際に岩本真弥(元)先生の指導で強くなったのだから、『駅伝日本一、世羅高校に学ぶ「脱管理」のチームづくり』の読者層であろう、成人市民ランナーも、速くなれるかもしれません。
 しかし、それ以上に、本書は、中長距離走ではなく、企業など、組織で管理職の立場にある人が、「管理職」という名に反して「脱管理」を果たし、強い集団を作るために、読んで学ぶべき本なのだと思いました。陸上競技を全く知らない人でも、読んで意味がわかるでしょうし、陸上競技をよく知る人なら、なおさら、腑に落ちることが多いでしょう。

 

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【中長距離走】効果的なレース前調整のコツ:筋肉の適度な緊張を保ちつつ疲労を抜く

 

【中長距離走】効果的なレース前調整のコツ:筋肉の適度な緊張を保ちつつ疲労を抜く

 

はじめに

 十分に休養を取って疲労を抜き、試合の日を迎えたにも関わらず、試合の日に足が重いことが多く、悩んでいませんか?

 実は、ただ休むだけだと、筋肉の適度な緊張が失われ、レースに必要なスピードを出しにくくなります。

 本記事を読めば、休養により疲労を抜きつつ筋肉の適度な緊張を保ち、レースでベストパフォーマンスを発揮する方法を知ることができます。

 

筋肉の適度な緊張が大切

 重要なレース前、1週間ほどは、もちろん、練習量を減らし、回復に努めなくてはなりません。

 一方、休んだ結果、筋肉の緊張度が低すぎると、筋肉の収縮速度が遅くなり、大きな力を出すことができません。その結果、パフォーマンスを低下させる「だるさ」が発生します。

 したがって、休息日には、筋肉の緊張を下げてもいいですが、ポイント練習やレースの前には、筋肉の適度な緊張を保つ必要があります。

 注意点は、不調の原因が筋肉の緊張にあるのか、オーバートレーニングや疲労によるものなのかを見極めることです。筋肉の緊張が低いのは筋肉を中心とした局所的な反応ですが、オーバートレーニングによる体のだるさは、より全身的な感覚です。疲労によるだるさは、足だけではなく、全身の倦怠感があります。走っている主要な筋肉に問題があるのか、それとも全身に問題があるのかを見極めることが、この2つを見分けるポイントになります。

 

試合前1週間の調整

 7日前に筋肉の緊張を大きく上げるハードなトレーニングを行い、3日前には筋肉の緊張を中程度から大きく上げるトレーニングを行い、前日には筋肉の緊張を少し上げるストライドを行うという計画が良いでしょう。レース当日になってもまだ筋肉の緊張が低い場合は、ウォームアップにレースペース以上の100mストライドを取り入れ、レース直前にリバウンドジャンプを4回行うことで、筋肉の緊張を鋭く変化させます。

たとえば、5000mのレースの場合、以下のようになるでしょう。

レース7日前:400m(400jog)×6本を1500mレースペースで行う。またはヒルスプリント10秒(2~3分レスト)×8を行う。

レース3日前:5kmレースペースの200m(200jog)×8

レース前日:100mストライド(流し)6本をレースペースかそれより少し速いペースで行う。

800m、1500mの場合、上記を参考に、ペース、本数を調節するといいでしょう。

 

マラソンのような長いレースでは、筋肉の緊張をある程度上げる必要がありますが、やや低くていいです。

レース7日前:10~12マイルを走り、最後の10分はマラソンペースで走る。

レース前3日間:マラソンペースで5分×2回、その後10Kペースで1分×3回

レース前日 30秒ストライド(流し)を4~5回、ハーフマラソンペースから始めて、5K~10Kレースペースに上げていく。

 

 また、たとえば、中長距離ランナーは、冬などの走り込み期に、いわゆる「バネがない」状況に陥らないよう、たまにスプリントなどを入れたほうがいいということです。

 

筋肉の緊張を上げるもの

・スプリント
・筋力トレーニング
・速めのペースでのインターバル
・ストライド

 

筋肉の緊張を下げるもの

・長いjog
・ゆっくりのjog
・マッサージ
・遅めの長いポイント練習
・温かい風呂
・柔らかい路面でのランニング

 

参考サイト
筆者はSteve Magnessさんという、中長距離走のコーチです。運動科学の修士号を持っています。2019年世界陸上ドーハ大会の女子マラソン6位は、41歳のアメリカのフルタイム勤務の看護師でしたが、Steve Magnessさんが指導したそうです。

 

800mの練習法 

1500mの練習法

5000mの練習法

ピーキング(テーパリング、試合に向けてピークを作る)の考え方

朝練、二部練はすべき? 2回に分けて走っていいの?

乳酸除去能力の高め方

ASICS GT-1000 9 G-TX:ゴアテックス、防水の実力は?

たむじょー選手の全日本実業団陸上2021 1500m 3分48秒51

 

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【中長距離走】朝練、二部練はすべき? 2回に分けて走っていいの?:有酸素能力と休養

 

【中長距離走】朝練、二部練はすべき? 2回に分けて走っていいの?:有酸素能力と休養

 

 朝練を始めようか、面倒くさいからやめようか、悩んでいませんか?実は、朝練はやった方がいいに決まっていますが、時と場合によって、朝練の意味が違ってきます。この記事を読めば、どんなときは朝練をしたほうが良くて、どんなときは、別に一部練だけでもいいのか、理由から理解することができます。

 

有酸素能力の向上が目的の場合

 特に、鍛錬期に、継続時間の長い有酸素ランニングで、有酸素能力の向上を目指すことが目的の場合、走る時間は分割せずに、1回の練習で長い時間を走り続けるべきことが多いでしょう。中長距離ランナーなら、60~120分ほどは継続して走れるべきです。
 ただし、有酸素能力の向上が目的の場合でも、1日2回のトレーニング刺激を与えることにより得られる特有の適応があるでしょうから、あえて、走る時間を分割する意義はあると言えます。

 

有酸素能力の維持が目的の場合

 能力の維持は、向上よりも、はるかに簡単です。したがって、特に、試合準備期や試合期に、有酸素能力の維持が目的の場合、無理に1回で長時間走らず、2回に分けても、維持という目的は達成されます。たとえば、30分/30分、40分/40分、などと分割してもいいでしょう。

 

休養的練習の場合

 1日2回走ることにより、より、回復力を高める現象が起きるので、走る時間を分割することは意味があると言えます。たとえば、30分/30分などと分割してもいいでしょう。

 

参考サイト
 筆者はSteve Magnessさんという、中長距離走のコーチです。運動科学の修士号を持っています。2019年世界陸上ドーハ大会の女子マラソン6位は、41歳のアメリカのフルタイム勤務の看護師でしたが、Steve Magnessさんが指導したそうです。

 

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【中長距離走】乳酸除去能力の高め方:5000m、10000m、ハーフマラソン、マラソン

 

【中長距離走】乳酸除去能力の高め方:5000m、10000m、ハーフマラソン、マラソン

 

乳酸は敵か味方か?

 ランナーに疲労の原因を尋ねると、ほとんどの場合、乳酸と答が返ってきます。この言葉を聞いただけで、レース終盤の激痛や苦闘、悪名高い尻もちなどの記憶がよみがえります。しかし、現在の運動生理学では、乳酸は疲労物質ではない、ということになっています。ランナーの味方であり、敵ではありません。乳酸は、悪者ではなく、速く走るための重要な燃料源なのです。

 

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 乳酸が悪者扱いされているのはなぜでしょうか?速く走れば走るほど、乳酸の生産量と消費量は増えます。よく訓練されたランナーであれば、乳酸を生産してもすぐに「排出」することができます。しかし、ある時点で、速く走ったため、あるいは速いペースを長く維持したために、血流から排出できる量よりも多くの乳酸が生成されるようになります。このとき、乳酸生成に伴う水素イオンは、エネルギー生成に使われる酵素を停止させ、カルシウムの取り込みを阻害する可能性があります。その結果、筋肉の収縮能力が低下し、減速せざるを得なくなるのです。つまり、一般的に「乳酸」に関連するすべての感覚は、乳酸を生成するのと同じくらい速く処理できなくなったときに現れるのです。

 LT走(テンポ走)やクルーズインターバル(LTペースで行うインターバル)は、この問題を解決するための伝統的なトレーニング手段です。これらのトレーニングは、乳酸の産生が進むにつれて乳酸を除去する能力、または耐性を向上させることで、より速いペースをより長く維持することを可能にします。しかし、エリートコーチやケニア人アスリートは、レース中に乳酸の使用量を増やし、乳酸とそれに付随する疲労物質をより早く排出できるよう、新たな工夫を凝らしています。

 

乳酸除去能力を高めるには?

 イタリアのコーチであるレナート・カノーヴァ(Renato Canova)は、東アフリカのランナーは欧米のランナーよりもレース中のスピードで乳酸を排出する能力が高いと信じています。多くのランナーは、LT走、あるいは15kmからハーフマラソンまでのレースペースであれば、乳酸を素早く排出することができますが、それ以上になると排出メカニズムに負担がかかり、血中に乳酸がどんどん流れ込んできます。

 この問題を解決するために、私達はLT走を継続的に行い、乳酸を除去する能力を徐々に向上させる傾向にあります。この方法の第一の欠点は、より速いレースペースで乳酸を除去することを身体に教えることがほとんどできないことです。もうひとつは、LT走の場合、乳酸の排出は比較的一定なので、より速く排出する方法を考えなければならないほど、身体にストレスがかからないということです。

 このような欠点を回避するために、2つのトレーニングが利用できます。つまり、乳酸の産生を高めるために速く走る区間と、それまでに産生された乳酸を排出するためにゆっくり走る区間が続くようにするのです。

 

alternations(交互)

 最初の方法は、レナート・カノーヴァがalternations(交互)と呼ぶものです。alternationsは、連続したランニングで、少し速く走る区間と少し遅く走る区間を交互に繰り返すものです。ハーフマラソンやそれ以下のレースでは、1区間はレースペース、もう1区間は従来のLTペースよりやや遅めのペースで走るのが目標です。この場合、通常のLT走のペースより1マイルあたり20秒から40秒遅いペースを目安にするとよいでしょう。トレーニング期間中、この区間のペースを徐々に上げていき、2つの区間のペースの差が小さくなるようにします。マラソンのトレーニングでは、レースペースと、最初は1マイルあたり15〜20秒速いペースを交互に繰り返すことで、マラソンペースでも乳酸を燃料として使用できるように体を鍛えます。

以下は、ハーフマラソンまでの交互走の流れです。

 

ハーフマラソンのためのalternations

ハーフマラソンまでの10週間、この一連のトレーニングを行い、レースペースでの乳酸除去能力を向上させる。RP=ハーフマラソンの目標ペース。

10週前

400m(RP+3秒/km)と1200m(RP+25秒/km)を交互に10km。

8週前

600m(RP)と1000m(RP+22秒/km)を交互に10km。

6週前

800m(RP-3秒/km)と800m(RP+22秒/km)を交互にを交互に10km。

4週前

1000m(RP-6秒/km)と600m(RP+19秒/km)を交互に12~13km。

2週前

1000m(RP-6秒/km)と600m(RP+12秒/km)を交互に12~13km。

 

blends(混ぜる)

 乳酸除去能力を向上させるための新しいトレーニングの2つ目は、blendsです。「乳酸を素早く除去する能力を高めるために、長いインターバルと短いインターバルを混ぜる」ものだとレナート・カノーバは言います。

 この方法は、休憩時間を挟んでインターバル方式で行うことを除けば、alternationsと似ています。トレーニングでは、1マイルのような長いインターバルに続いて、1/4マイルのような短いインターバルがあり、その後、長いインターバルに戻り、この順序を数回繰り返すのです。短い区間の前の休息時間も比較的短く、長い回復を経てサイクルが繰り返されるはずです。

 blendsのメカニズムは若干異なりますが、速い区間が乳酸の産生を高め、長い区間がその乳酸に対処するという大前提は変わりません。レナート・カノーバによると、その主なメカニズムは、トレーニングによって「細胞膜の透過性が向上する」こと、つまり乳酸が筋肉から出たり入ったりしやすくなることだそうです。

以下は、5kmまでのblendsのしかたです。

 

5Kmのためのblends

5Kまでの10週間、この一連のトレーニングを行い、レースペースで乳酸を排出する能力を向上させます。RP = 1kmあたりの5K目標ペース。

10週間前:(2000m@RP (2’jog) 200m@RP-12″/k)×3、セット間4’jog

8週間前:(2000m@ RP-6″/k (2’jog) 300m@ RP-15″/k)×3、セット間4’jog

6週間前:(1600m@RP-6″/k (2’jog) 300m@RP-15″/k)×3、セット間4’jog

4週間前:(1200m@ RP-9″/k (2’jog) 400m@ RP-18″/k)×3、セット間は4’jog

2週間前:(800m @ RP-12″/k (2’jog) 400m@ RP-21″/k)×3、セット間は4分4’jog

 

新しい乳酸除去トレーニングの活用

 重要なのは、トレーニングプログラムにおいて、それぞれをどのように使用するかを理解することです。

 alternationsは、トレーニング期間中ずっと使用することができます。初期の段階では、低速区間がランの大部分を占める高度なLT走と考えるのがベストです。シーズン中にこれを行うには、alternationsの表で示したように、速い区間を長くして、少なくとも遅い区間と同じ長さにします。目標は、重要なレース前の最後の数週間で、速い区間が遅い区間と同じかそれ以上の長さになるようにすることです。

 blendsは、主にトレーニング期間の中盤から後半にかけて、または従来のインターバルが使用される時間帯に使用されるべきです。最初のうちは、速いインターバルの長さを100mから300m程度にし、後半はスピードと長さを徐々に上げて、トレーニングの強度を高めていくようにします。

 これらのトレーニングは、適応のための貴重な新しい刺激と、トレーニングのバラエティを増やすことの両方を可能にするはずです。従来のLT走やインターバルを捨ててしまうのではなく、隔週でこれらの新しいバリエーションをトレーニングプランに加えることで、トレーニング、ひいてはレースでのタイムに弾みをつけることができます。

 

参考サイト
筆者はSteve Magnessさんという、中長距離走のコーチです。運動科学の修士号を持っています。2019年世界陸上ドーハ大会の女子マラソン6位は、41歳のアメリカのフルタイム勤務の看護師でしたが、Steve Magnessさんが指導したそうです。

 

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