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1500m走の練習メニュー:1ヶ月、1週間、大会前の調整、冬練は?男子、女子、中学生、高校生はどうする?
・初心者
1500mの上級者向け練習メニュー
「ダニエルズのランニングフォーミュラ」の
「体力向上のトレーニング」の
「レッド中級プログラム」を
こなせることを前提とします。
メニューはリディアード式を
ベースにしています。
メニューの内容、目的、ペースなどは
「練習の種類と目的」の項へ。
下記のメニューは、
冬から春シーズンをイメージしています。
秋にもう1回合わせるときは、
期間を短縮するといいでしょう。
メニュー中の走る時間、本数は、だいたい、
冬に50K/週の人が下限、
100K/週の人が上限です。
できるだけ長く(冬練メニュー)
月 SP30~60分
火 Jog45~90分
水 LT走15~20分
木 Jog45~90分
金 SP30~45分
土 LT走15~20分
日 Jog45分~90分~
リディアード式の基本である
有酸素能力の向上を目指します。
有酸素性エネルギー:無酸素エネルギーの
具体的な割合は、男子の場合
77:23ほど[1]
とされます。
女子はレースの時間が長いので、
さらに有酸素性に寄ります。
陸上部の人はわかると思いますが、
5000mを走れる人は、
よほどスプリントで劣らない限り、
1500mも走れます。
逆に、特に大学生以上など、
成長期が終わった場合、
成長による有酸素能力の向上が
なくなるので、
有酸素練習を怠り、
トラックでのスピード練習ばかり
していると、意外と
1500mが伸びない、
ということは、全国的に
起こっていることではないでしょうか。
Jog、LT走(ペース走)のペースは
「練習の種類と目的」の項へ。
重要なレースの13週~10週前のメニュー
月 レッグスピード100×6~10
火 Jog45~90分
水 ヒルトレーニング
木 SP30~60分
金 レッグスピード100×6~10
土 ヒルトレーニング
日 Jog45分~90分~
トラック練習に入る準備期間です。
ヒルトレーニングで
速筋の動員を増やします。
レッグスピードは、
ストライドはいつもと同じで、
大腿部と腹筋で
脚を素早く引き上げて
300jogつなぎで100mを速く走ります。
重要なレースの9週~6週前のメニュー
月 Rep400(400Jog)×6~10
火 スプリント100(300s-jog)×6
水 SP30~60分
木 Rep400(400Jog)×6~10
金 スプリント100(300s-jog)×6
土 Tempo3000m
日 Jog45分~90分~
Rep(インターバル)は
1500mのレースペースで。
無酸素能力を開発します。
1500mのレースペースを体に刻み、
楽に走る狙いもあります。
スプリントでは、スプリントを養成し、
以降の期間で速く走れるようにします。
重要なレースの5週~2週前のメニュー
月 シャープナー100(100)×6~12
火 SP30~60分
水 Rep1600+1000+600 20分おき
木 Jog30~60分
金 速い流し100×6
土 Race1500m または
Rep1600+1000+600 20分おき
日 s-Jog45~90分
1500mという距離を
1500mのレースペースで
走りぬくことを目指します。
シャープナー100(100)は、
100mを800mレースペースで走り、
100mをそのままの流れで緩めていく、
をくり返します。
脚はかなり無酸素状態に入りますが
全身はあまり疲れないので、
その名の通り、キレを出しつつ
無酸素能力を維持するのに適しています。
ミトコンドリアの「機能」を改善するのに
適切な走スピードでもあるようです。
重要なレースが連戦の時にも、
コンディション維持に使えます。
速い流しは400mのレースペース前後で。
特に上体をリラックスさせて走ります。
レースペースで楽に走ることを目指します。
重要なレースの1週前のメニュー
月 シャープナー50(50) ×8~20
火 SP30~60分
水 TT1500m
木 SP30~45分
金 ストライディング200×6
土 RaceまたはTT800m
日 s-Jog45~90分
TT1500mを全力で
ラストスパートをせずに行い、
以降は回復重視です。
人の神経の仕組みからして、これ以降、
レースペースより遅いペースで
頑張る練習をすると、
そのペースが染みつき
キレが失われるので注意しましょう。
重要なレースの週の調整メニュー
月 シャープナー50(50) ×8~16
火 SP30~45分
水 800(400jog)400(100jog)300
木 s-Jog30~45分
金 流し200×2~3
土 重要なRace1500m
日 s-Jog45~90分
練習量を減らして疲労を抜きます。
同時に、1500mのレースペースに
適切な筋肉の緊張を保つために、
1500mレースペースの走りを入れます。
水曜日はレースをイメージして。
前日の流しは1500mのレースペース前後で。
重要なレースが続く場合のメニュー
月 SP30~60分
火 流し200×6
水 800(400jog)400(100jog)300
または
シャープナー50(50) ×6~12
木 SP30~60分
金 流し200×2~3
土 重要なRace1500m
日 s-Jog45~90分
ピークを迎えてからも
強い無酸素練習を続けると、
調子が下降するようです。
右上がりより維持のイメージで。
重要なレースまで2週以上あるときは、
一度、冬期のような練習に戻し、
レース前に再びキレを出す方針で。
1500mレースペースの練習メニュー
リディアードは、
試合では走り続けるから、
練習でも分割走をすべきではない、
という理由で、
無酸素能力を開発する
「レペティション」
(400(400Jog)×6~10)以外は、
分割走を勧めていません。
しかし、世界トップランナーも
分割走をしているのが現状です。
1500mレースペース(以下RP)
を意識した練習を
紹介したいと思います。
400(200jog=60”)×7 @RP
または、試合の目標ペースで
こなせるように、
間のjogをゆっくりに。
600(3’~4’)×5 @RP
1000(6’~8’)×3 @RP
1600(3000RP)1000(RP)600(RPより速く)
休憩6’~8′
記録会に向けての練習であれば、
ひたすらイーブンペースで
こなすことを考えればいいでしょう。
上級者の勝負レースに向けての
練習であれば、レース本番では、
ペースの上げ下げがあるでしょうから
練習も、あえて設定タイムを
1本ずつバラけさせても
いいかと思います。
1500mの初心者向け練習メニュー
重要なレースがない時期は
40分~60分、
気持ちいいペースでJogをして、
基礎体力とともに、
有酸素能力を高める。
流しは1500mのレースペースでしましょう。
週1回坂ダッシュ
6秒✕6本(レストは2~3分)
入れると、スプリントを強化できます。
重要なレースの4週間前からは、
1600m(スピード持久力、3000mレースペース)
1000m(レースペース)
600m(レースより速く)
などで走る練習を
週に2~3回入れます。
以上のような単純な考え方で、
1500mをレースペースで
走り抜く力がつき
重要なレースにピークを
持っていけるでしょう。
小学生、中学生、高校生の1500m練習メニュー
『リディアードのランニング・バイブル』
には、10歳からの練習メニューが
載っています。
リディアードは、
10歳やそこらでも、
本人が楽しみ、かつ、注意深く
行えば、有酸素ランニングを
控える必要はない、と述べています。
ただし、道路より、芝生などのほうが
いいかもしれません。
このサイトで紹介するメニューは、
変に追い込むものではないので、
上級者向けのメニューを状況に応じて、
距離、本数を減らせば、
小学生、中学生向けになります。
上記の初心者向けだけでも、
かなりの成果を得られるでしょう。
高校生の場合、年齢ではなく、
個人個人が、週にどのくらい
練習をこなせる体力レベルにあるのかで、
練習量を決めましょう。
男子が1500m3分台、4分切りをするには?
上級者向けの練習で得られる
有酸素能力、スプリント、
無酸素能力の協調が前提です。
ただし、1500mの場合、
有酸素能力重視でしょう。
その上で、試合前数週間、
紹介した上記、
レースペースの練習で、
4分切り…400m63秒台
4分10秒…400m66秒
4分20秒…400m69秒
4分30秒…400m71秒台
体に叩き込む練習をするといいでしょう。
女子が1500m5分、5分30秒を切るには?
上級者向けの練習で得られる
有酸素能力、スプリント、
無酸素能力の協調が前提です。
ただし、1500mの場合、
有酸素能力重視でしょう。
その上で、試合前数週間、
紹介した上記、
レースペースの練習で、
5分切り…400m79秒台
5分30秒…400m87秒台
というレースペースを
体に叩き込む練習をするといいでしょう。
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1500m走の人気、魅力
1500メートル走は、陸上競技の世界では重要な位置を占める中距離トラック競技の人気種目です。日本より、ヨーロッパで人気があると思います。理由はいくつかあると思います。
オリンピックで注目されたこと: 1500mは、男子は1896年の第1回大会以来、女子は1972年以来、オリンピックの種目となっています。選手と観客の両方から注目される重要かつ権威のある競技として定着しています。
世界選手権 :2年に1度開催される世界陸上競技選手権大会にもある種目で、世界的な人気と知名度を高めています。
国内・地域大会:国内・地域の陸上競技大会に数多く採用されており、選手やファンにとって身近な競技となっています。
チャレンジしやすい: 1500mは、エリートからアマチュアまで幅広い層が挑戦できる距離です。そのため、様々なレベルの選手が参加できるのも魅力です。
スピードと持久力のバランス:1500mは、比較的長い距離を速いペースで走る必要があるため、スピードと持久力のバランスに優れています。そのため、参加するにも見るにも、エキサイティングでチャレンジングな競技です。ラスト300mからのスパート合戦は、この上なくエキサイティングですね。また、トラックを3周してから、もう300m走るというのは、「起・承・転・結」にも例えられると思います。
象徴的な瞬間とアスリートたち:1500mは、ヒシャム・エルゲルージ、セバスチャン・コー、スティーブ・クラム、ヌルディン・モルセリといった伝説的なアスリートたちによる数々の忘れられない瞬間や優れたパフォーマンスの舞台となってきました。これらの象徴的な出来事や人物は、このレースの不変の魅力と世界的な人気に貢献しています。
男子は1970年代から1980年代にかけて、1500m走はイギリス人選手と、時折フィンランド人、アメリカ人、ニュージーランド人の選手によって占められていました。1990年代には、アフリカのランナーがオリンピックでメダルを獲得するようになり、特にケニア、エチオピア、東アフリカのランナーや、モロッコ、アルジェリアの北アフリカのランナーが活躍しました。2020年代に入ると、男子では再びヨーロッパのランナーが台頭し始めます。女子は2023年現在、ケニアのフェイス・キピエゴンが2016年、2021年とオリンピックを連覇し、世界歴代2位の記録を保持しています。
1500m走の基本戦術と走り方
記録会であれば、イーブンペースで走るのが、もっとも記録が出やすいでしょう。現在は、ペースメーカーがつく記録会もありますから、自分の目標タイムのペースメーカーにひたすらついていく、というのがいいでしょう。よくある失敗は、前半にオーバーペースで、後半失速するというものです。特に中高生は気をつけましょう。
順位が重要なレースの場合、前半がスローペースになることも多いです。いかに1200mまでを楽に走り、ラスト300mのスパート合戦でスプリントを発揮するか、というケースも多いと思います。この時、ポケットされてスパートの機会を逃したり、接触して転倒したりする危険性もあるので注意しましょう。このあたりは、経験者に話を聞き、十分にシミュレーションした上で、自らも経験を積むのがいいでしょう。
田中希実選手の東京五輪1500mへの練習
2021年の東京オリンピック女子1500mにて、田中希実選手が、3分台を2回記録し、8位入賞という快挙を達成しました。テレビ解説の金哲彦さんは、「今、泣いている人たくさんいますよ」と言っていましたが、1500mに関わったことのある人は、そうだったでしょう。
『陸上競技マガジン』2022年3,4月号に、田中希実選手の2021年東京オリンピック前後の練習メニューが載りました。
感想は「別に、たいした練習はしていないなあ」でした。特徴は
・ほとんどがJog。
・やたら試合に出ている。1日2本や連日の時もある。800mにも出ている。
・おそらく、試合でまあまあ走れるように、数日前に、少しトラックでスピード練習をしている。
という印象です。
まず、東京オリンピックの本命は、1500mではなく、5000mだったのではないでしょうか。私はてっきり、そうだと思っていました。練習メニューを見ても、1500mのレースペースを意識した練習は、あまり見られません。(ただし、本記事には乗らない「流し」のような形でスピードを出している可能性はある。)
ただし、先述のように、800m、1500mのレースには、数多く出ています。運動生理学的には、レースを練習として使うことにより、特に、無酸素寄りの能力を引き上げていたのだと思います。
有酸素寄りの能力については、陸上部の人ならわかると思いますが、5000mを走れる人は、よほどスプリントで劣らない限り、1500mもかなり走れます。
練習メニューを見ても、東京オリンピックで5000mで予選落ちをした後、急にトラックを走るスピードを上げて、「動き」を1500mに対応させたのであろうことが読み取れます。