【SKE48】江籠裕奈生誕祭2023:江籠裕奈のスピーチ、斉藤真木子からの手紙
2023年4月12日、SKE劇場にて、江籠裕奈の23歳の生誕祭が行われた。
『時間がない』公演本編
チームKⅡの現行の公演は『時間がない』公演。チームKⅡとしては、高柳明音の「直訴」で勝ち取った2011年の『ラムネの飲み方』公演以来、11年ぶりのオリジナル公演だ。初日は2022年12月。
江籠裕奈は、この『時間がない』公演で序列1位、センターポジションを務めている。
出演メンバー
青木詩織・青木莉樺・荒井優希・伊藤実希・入内嶋涼・江籠裕奈・太田彩夏・岡本彩夏・川嶋美晴・北野瑠華・鈴木愛菜・中野愛理・西井美桜・日高優月・藤本冬香・水野愛理
『異形のダンス』
『Overture』の前から、時計がチックタックなっている音がする。そして『Overture』を経て1曲目は『異形のダンス』。「異形」とは『時間がない』公演のように「いぎょう」と読む場合、特に「普通とは違った怪しい姿・形をしていること」を意味する。
『異形のダンス』は、作曲は、『時間がない』公演に4曲を提供している、韓国のDJ、プロデューサーのNight Tempo氏。作詞は、土岐麻子さんという方で、早大文学部卒らしい。ユニット明けの『ハートブレイカーズ』も土岐麻子さんの作曲だ。土岐麻子さんの詞には、時折、「秋元康氏には書けないな」と思われるフレーズが現れる。「ネオンライトが雪のように降るその寂し心寄り添いたいのに」。AKBグループの劇場公演に、新風を吹き込んでいる。
『異形のダンス』の歌い出しは、江籠裕奈だ。「砂埃上げてネットの」。メンバー全員が、漆黒の衣装に身を包み、やはり、ツバの広いマクロな帽子を深くかぶり、誰が誰だかわからない匿名性の中、江籠裕奈のエンジェルボイスが存在感を放つ。その後も、誰が誰だかよくわからないまま、曲は進み、メンバーは歌い、踊る。もう一度、江籠のソロパートが来る。「本当の僕になりたいと窮屈なヒールを脱ぐ」。モーセの海割りのように、他のメンバーは左右に分かれ、江籠裕奈が悠然とステージ中央を、足裏を外に蹴り出しながら歩いてきて、最後に、ちょっとお洒落なダンスをして、こちらから見て左側に移動する。貫禄、凄味、存在感が抜群なのである。ゾクゾクする。
江籠裕奈は、「天使」と言われてきた。しかし、意外に、ブリブリのアイドル曲の印象は薄い。むしろ、チームS4th『RESET』公演で、『制服レジスタンス』のアンダーに入った時からであろうか。意外にも、やさぐれた、背徳感のある曲で凄味を発揮する人なのだと思った。
『時間がない』
2曲目は『時間がない』。この曲は、むしろ、公演初日前に公開された、ミュージックビデオでの存在感が抜群だった。エースだな、と。他のメンバーには申し訳ないが、同期の古畑奈和あたりが残っていたならともかく、卒業した今、『時間がない』公演は、江籠裕奈なくして成り立たないのではないか、と。
『君は未来に試されている』
4曲目の『君は未来に試されている』は、江籠裕奈が最も好きな曲らしい。振り付けを担当した「CRE8BOY」の人も、雑誌BUBKAの記事で「ここで江籠が爆発する」と述べている。ただ、筆者は、この曲の江籠のどのあたりが特に良いのかは、よくわからない。まあ、このあたりは、個人の嗜好の問題なのかもしれない。
自己紹介トーク
この日の自己紹介トークは「好きな魚、かぶりなし」だった。在宅民が初めて江籠裕奈を見たのは、8thシングル『片想いFinally』の特典映像「SKE48紅白対抗 マル秘芸認定大会」で、魚へんの漢字を20個書いた江籠裕奈だったかもしれない。今だに、公式プロフィールで特技に書いているが、かつて、かの指原莉乃に「しょうもないからやめなよ」と言われたことがある。[1]
江籠裕奈が好きなのは金魚だそうだ。小さい頃は金魚に「パンダ」という名前をつけて飼っていたらしい。
『転生しても好きでした』
自己紹介明けのユニットセクションの1曲目は、江籠裕奈がセンターを務める3人ユニットのブリブリのアイドル曲『転生しても好きでした』だ。先ほど、江籠裕奈は、ブリブリのアイドル曲の印象が意外に薄い、と書いたが、『転生しても好きでした』の江籠裕奈は格別である。悶絶である。江籠裕奈は「11年やってきて、まだ可愛さで勝負しなきゃいけないのか」と語っているが、今の48グループに、『転生しても好きでした』の江籠裕奈に勝てる人はいますか?
『転生しても好きでした』では、江籠裕奈は、両手をゆらゆら上げるときの目線や、ソロパートでの振りなどを、公演ごとに微妙に変えている。
江籠裕奈がもっとも慕う、高柳明音は、かつて、チームKⅡ4th『シアターの女神』公演の『チームKⅡ推し』で、毎回、振りを変えていた。その後、チームS『重ねた足跡』公演で『チームS推し』が披露されていたが、みんな工夫がないなあ、というのが筆者の感想だった。
江籠裕奈は、劇場のパフォーマーとしては、AKBグループ歴代で、大島優子や渡辺麻友のようなレジェンドには敬意を払うとしても、トップ20くらいのところには来たのではないか、というのが個人的見解である。
『いいね、それいいね』
アンコール後の1曲目は、『いいね、それいいね』。この曲は、前半の最後に「もう許して」の後、「あげない」に、江籠裕奈のソロパートがある。ここの江籠裕奈が、今までと違う感じで、大人っぽくて、また、悶絶なのである。自信、余裕、貫禄を感じる。この部分も、この日は、自分の生誕祭ということでか、プレーンな感じの振りだったが、他メンバーの生誕祭の日は、そのメンバーにちなんだ振りにしたり、普段も微妙に振りを変えたりしている。
『消えない虹を心に架けて』
アンコール後の2曲目は『消えない虹を心に架けて』。この曲は、最後、江籠裕奈が前に出てきて、手で半円を描くと、劇場の照明が虹色になる演出がある。この日は、客席のサイリウムも虹色になったようだ。
江籠裕奈生誕祭
普通、生誕祭では、「花冠」をかぶることが多い。しかし、今年の江籠裕奈は、まあ、花もあるが、網状の部分があるものをつけた。品があって皇室の人みたいだ、と思った。
斉藤真木子からの手紙
お手紙は、斉藤真木子からだった。研究生時代から11年のつき合いのはずだが、斉藤真木子がお手紙を書くのは、初めてだったようだ。4年前、斉藤真木子が江籠裕奈に書いてもらったらしい。
実際、この2人の距離が縮まったのは、2018年頃らしい。斉藤真木子を慕う後輩も、江籠裕奈を可愛がる先輩も多かったので、意外にもこの2人は交わらなかったのかもしれない。
斉藤真木子は、江籠裕奈との初対面を覚えていない。足にギブスをした宮前杏実が『オキドキ』を踊っていた記憶が強烈らしい(笑)。
プロフィールで書いたように、江籠裕奈がSKEに加入し、5期研究生になった時、斉藤真木子が研究生に降格していて、5期生を指導していた。かつて、斉藤真木子は、ドキュメンタリー映画の舞台挨拶で、5期生を指導していた時に「江籠ちゃんを何回も泣かせた」と言ったことがある。私は、話を面白くするために、盛っているのだろうと思っていた。しかし、最近もそういう話をしていたし、お手紙にも書いていた。本当なのだろう。
お手紙によると、江籠裕奈は、斉藤真木子に「どんなに辛くて苦しい時代が思い返されても、あの時があったから、今の私がいます。」と言ったことがあるらしい。斉藤真木子も指導者として優秀だったし、それについて行った5期生も根性があったのだろう。ちなみに、驚くべきことに、江籠裕奈は、5期生13人の中で、CDシングルの選抜入りが8番目、最後である。
江籠裕奈は、斉藤真木子のソロ公演の背中を押したそうだが、4月25日の斉藤真木子の14周年イベントは、ソロ公演ではなくなってしまった。
江籠裕奈スピーチ
22歳の1年は、誕生日当日に写真集の発売から始まった。ソロライブをした。ソロシングルを出した。「アイドルとして自分が想像もしてなかったようなことが次々と起こる1年だったと感じています。」
「想像もしていなかった」?。筆者は逆で、江籠裕奈の出世は、遅すぎたくらいだと思っている。たしかに、上に、大エース松井珠理奈や、須田亜香里、高柳明音、惣田紗莉渚、大場美奈といった91~92年生まれ組がいたし、同期で総選挙選抜の古畑奈和、1期下の序列1位の北川綾巴、そして年下の後輩、小畑優奈がいた。筆者は、江籠裕奈が、彼女たちに劣っていたとは思わないが、江籠裕奈がそこまで絶対的な存在ではなかったのが悪いのか。また、先述のように、同期の中でCDシングルの選抜入りが8番目で、運営は推したくても推しきれない。あるいは、高校生になったタイミングで、たとえば、NHK紅白出場を、イメージが重なるであろう乃木坂に取って代わられた、といった巡り合わせが悪いのか、とにかく、江籠裕奈は出世が遅れた印象だ。
新公演のセンターについて。「すごい人達(の卒業)を見送ってきたから、センターはうれしいけど、(長く)いただけでここまで来たなと」と語った。筆者は、今や、『時間がない』公演のセンターは、江籠裕奈にしか務まらないと思っている。一方、先に挙げた面々にどうしても勝てなかったことを思い返すと、半分謙遜だが、半分は本音なのかもしれない。
SKEの中では、斉藤真木子に次ぐ先輩で、選抜メンバーだと最も先輩になる。「もっとこういう風にできたな」と思うことが多い。「亜香里さんだったら、みなるんさんだったら、こうしたんだろうな」。自分の不甲斐なさを感じる。
「正直、メンバーが関わるところじゃない領域のこともあるんですけど」「スタッフさんも入れ替わる中で、自分より後にSKEに関わってくださったスタッフさんとか」「もっとこうしたほうがSKE良くなるのにな、難しいな」
江籠裕奈は、2020年2月20日放送分の「ゼロポジ緊急生討論SP」の1分間プレゼンで「若い子は運営的な考えができる子ばかりではない」「アイドルとして1人1人が楽しめるようになったら、よりよいSKE48になると思う」と語った。しかし、そう言った江籠裕奈自身が、運営的な考えをしなければならない立場になった、ということだろう。
「自分が長く続けてこられたのは、SKEが大好きだったのに尽きる」「メンバーにもファンにも『SKE楽しいな、好きだな』と思ってほしい」「SKEのために何ができるかを考える」「グループも引っ張って行けるような人になりたいと思いました」「私のことを好きでいてくれる人は、もれなく幸せにする」
後輩に伝えられるのは「アイドルってこんなに楽しいよ、素敵だよ」「SKEにいる中でのアイドルの可能性の部分を広げる」
「今、めちゃくちゃ楽しくて幸せなので」
江籠裕奈 センターゼロポジ、2019生誕祭、2018.3 BUBKA表紙
2015年2月22日シャッフルラムネの飲み方公演リバイバル配信 センターは江籠裕奈!