【感想】藤井聡太論 将棋の未来(谷川浩司、講談社)

 

【感想】藤井聡太論 将棋の未来(谷川浩司、講談社)

 

 

オタク気質

 十七世名人の資格を持つ谷川浩司九段が藤井聡太さん(今後目まぐるしく称号が変化するでしょう)を語った本です。お2人の共通点は、中学生でプロ棋士になった、詰将棋が好きで、創作もする、鉄道が好き。オタク気質なのも似ているのかもしれませんね。何かに没頭する集中力が将棋に向かったので強い、ということでしょうか。
 谷川浩司九段も、藤井聡太さんのケタ外れの「頭の体力」を語り、「将棋がとてつもなく好きだ」と感じたそうです。つまり「将棋を考えることが好き」。「頭の体力」ということもあるでしょうが、好きなことに没頭している、という面も大きいのではないでしょうか。

 藤井聡太さんは、一時期、常に相手よりも持ち時間を消費しがちで、終盤に時間が残っていない(それでも終盤で間違えないのですが)と言われたことがあります。そのことについて、藤井聡太さんは

「わからないまま指してしまうと、結局考えた意味がなくなってしまうと思っているんです。(中略)なるべく考えたところで自分なりに判断の根拠を持って指したいと思っています。」

と語っています。谷川浩司九段も今は、ペース配分を考えるよりも、そのような「読み切ろう」という姿勢のままでいい、と述べています。そのような、心理を追求しよう、という姿勢の人のほうが、伸びるのでしょうね。

 

パターン認識能力

 2018年、朝日杯将棋オープンの準決勝で藤井聡太さんに敗れた羽生善治九段は、藤井聡太さんを評して

「局面を形から認識する能力が優れていると感じる。」
「パターンを形から認識する力が非常に高い。」

と語りました。谷川九段は、「局面の認識能力」が最も高いのは羽生さん自身だと思っていたので、驚いたそうです。
 受験の算数、数学では「思考」派VS「暗記」派で不毛な論争がされがちです。しかし、羽生九段や藤井聡太さんのような、心理を追求しようという姿勢の人たちが「パターン認識」も大切だと考えています。受験の算数、数学においても、大切なのは、「思考」と「記憶」の「バランス」なのだと思います。

 

運を大切にする

 藤井聡太さんが、早めに対局室で座っていることは、将棋ファンの間では有名かもしれません。これを、谷川浩司九段は、「将棋の神様に味方してもらう」「運を逃さないようにする」ためだと述べています。さらに、対局上への入りだけでなく、対局時の作法、服装、普段の生活などもそうだと述べています。将棋の世界のみならず、他の分野でも、真摯に向き合っている人に、「運」は訪れるのでしょう。これは決してスピリチュアルなものではなく、普段から、そのようなことを心がけている人のほうが、何らかの理由で、パフォーマンスが高くなるのだと思います。
 こうした人間性の面から見ても、藤井聡太さんはトップに立つにふさわしい人物と言えるのでしょう。

 

目次

1.進化する藤井将棋
2.最強棋士の風景
3.不動のメンタル
4.「将棋の神様」の加護
5.「面白い将棋」の秘密
6.AI革命を生きる棋士
7.混沌の令和将棋

 

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